■■蒼葉蒼也様■■

約束の地へ… Episode Blue
プロローグ



『世界は情報でできている』
そんな言葉があるのを少年が知ったのは、八歳の時。
まだ何の事なのか、少年には理解できるものではなかった。
水野始。それが少年の名。
少年はシティ神戸で生まれた。
「天樹プラン」という魔法士開発計画があった。
少年の父は軍人。
父はこれからの世界、魔法士が中心を担うと予測し、少年がこれに参加するように計画の中にコネを使ってねじ込んだ。
少年は魔法士になることとなった。
そのころ、少年は一人の少女に出会う。
ブロンドの長い髪がよく似合う。花が好きな、シティパリ生まれのハーフだった。
名を、ノエル。ノエル・綾瀬。

「ねえ」
「なあに?」
「始ちゃんって、手術するの?」
少女が、顔を不安そうに歪めながら聞く。
「うん。そうだよ」
「どこを?」
「頭。手術が成功すれば、魔法使いになれるんだって」
少女の目に、好奇の色が浮かぶ。
「マホーツカイって、なぁに?」
「どんな事でもできる人、かな?」
少女は蒼い瞳を輝かせる。
「すごーい! 始ちゃん、何でも出来るようになるんだぁ」
「……よく、わかんない」
少年は顔をしかめ、しかしはにかむ。少年にとって、魔法士は魅力あるものではなかった。しかし、少女に褒められると、少年も悪い気はしない。
「じゃあ、始ちゃん」
「なに?」
「魔法使いになったら、私が元気になるようにして!」
少女の身体は、あまり丈夫なほうではなかった。
こうして花畑の丘で遊べるのも、月に一度、あるかないかだ。
普段は家で寝たり起きたりを繰り返している。
「うん! わかった!」そんな安請け合いを、少年は喜んでした。
魔法士とは何なのか。少年は理解していなかった。  二一八四年、一月。
少年は、魔法士になった。
「世界は情報でできている」
この言葉を、少年は初めて理解した。
少年は、十一歳だった。

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<作者様コメント>
す、すいません。なんかプロローグです。
祐一様が出てきません。
というか、誰も出てきませんね。
話からわかるように、思いっきり過去です。
やっと暇な時間を見つけて、取り掛かってみれば。
……二時間。
二時間でプロローグしか出来ませんでした。
(プロットはほぼ完成してるのに……)
オリジナルには、手もつけていません。
読んでもプロローグですし……。
続きを読みたい! と思っていただけたら幸いです。

<作者様サイト>
なし

◆とじる◆