神の使い
――人は死んだらどこへ行くのだろう? 人が人であるかぎり、考えるその疑問。 人が人であるかぎり、解けることのないその疑問。 人が人でなくなるまでくり返されるその問は、 人が人である証明。 そして、その先に見えるのは・・・ 「この世」と言う名の矛盾。
10年以上晴れた事の無い空の下。 小さな町の小さな通りを、 金髪の少女と、黒髪の少年は、並んで歩いていた。 「錬さん、人は死んだらどこへ行くと思います?」 「フィア、どうしたの?突然」 少女の問に、少年は問い返す。 「なんとなく、です」 少年は、思い当たる節があるのか、 それ以上、深く追求しない。 たっぷり10秒以上悩んだあげく、出てきた答えは、 「解んないや、そんな事考えたことも無かった」 そして、 「フィアは、どこへ行くと思うの?」 その問に少女は、微笑む。 「天国です」 「天国?」 「はい。だって死んだらなにもかも無になってしまうなんて、 悲しすぎます。だから、きっとおばあさまも今頃、雪さんに 会ってます」 「そっか・・・そうだね」 町中を歩く天使と悪魔の手は、 いつの間にか重なり合っていた。
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