■■ガルド様■■

神の使い



――人は死んだらどこへ行くのだろう?
人が人であるかぎり、考えるその疑問。
人が人であるかぎり、解けることのないその疑問。
人が人でなくなるまでくり返されるその問は、
人が人である証明。
そして、その先に見えるのは・・・
               「この世」と言う名の矛盾。


10年以上晴れた事の無い空の下。
小さな町の小さな通りを、
金髪の少女と、黒髪の少年は、並んで歩いていた。
「錬さん、人は死んだらどこへ行くと思います?」
「フィア、どうしたの?突然」
少女の問に、少年は問い返す。
「なんとなく、です」
少年は、思い当たる節があるのか、
それ以上、深く追求しない。
たっぷり10秒以上悩んだあげく、出てきた答えは、
「解んないや、そんな事考えたことも無かった」
そして、
「フィアは、どこへ行くと思うの?」
その問に少女は、微笑む。
「天国です」
「天国?」
「はい。だって死んだらなにもかも無になってしまうなんて、
悲しすぎます。だから、きっとおばあさまも今頃、雪さんに
会ってます」
「そっか・・・そうだね」
町中を歩く天使と悪魔の手は、
いつの間にか重なり合っていた。



<作者様コメント>
自分の詩を題材に超短編を作りました。
時間的には、1巻が終わりの方の
祐一を送り出す少し前。
と、言うより事件解決の翌日です。
詩の内容と小説の内容が、矛盾しているような・・・

<作者様サイト>
なし

◆とじる◆