シティ・ニューデリーの街の商店街は人ごみで賑わっており、今日も繁盛していた。
最も、色々な物が揃う上に質もよく品揃えも悪くないとくれば賑わうのは当然の理屈でもある。
そんな中、白い服を基調とした黒髪の少女が、安売りされている合成野菜の売り場を歩いて品定めをしていると、
「あら、こんにちは由里」
喧騒の中、何の前触れも無く肩に手が置かれ、由里と呼ばれた少女にとってとても聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、こんにちはルーエルテスさん」
振り向き、その声の主に挨拶する。
栗色の髪の眼鏡をかけた少女―――といっても実年齢は二十一歳の女性である、ルーエルテス・オルフェリーアがそこに居た。
外見年齢と中身が一致しないというのは魔法士である由里も同じだが、ルーエルテスの場合は実年齢が外見以下というレアケースだ。
因みに、今日の由里はシャロンを家に置いて一人で街に出てきたところである。
但し、ただの留守番という訳でもなく、シャロンは今、家の中の掃除をしてくれている。
食料補充と掃除をその日の内に終わらせたいと思った由里は、即座に行動を起こした。
で、とある勝負の元、由里が食料の買出しに行く係で、シャロンが掃除をする係という事で話が決まったのだった。
「今日はあの茶色い髪の子―――えっと、シャロンちゃんはいないの?」
「あ、シャロンちゃんは今日はお家で掃除をしてくれています。
そして私が買出しに来ているんです」
「それはどうやって決めたの?」
「じゃんけんです。負けた方が掃除をするってルールで決めたの。
で、私が勝っちゃったんですけど、シャロンちゃんは嫌な顔一つしないで引き受けてくれました」
「あら、いい子じゃないの。
やっぱり居候って立場を気にしてるんじゃないの?」
「居候じゃなくて友達ですっ」
因みに、強調の際に語尾に強く『っ』をつけるのが由里の口癖である。こればかりは生まれつきの口癖だけあって直そうにも中々直ってくれないので既に諦めてもいたりする。
「はいはい、そういう事にしておくわよ。
あ、そうだそうだ、由里にいいニュースがあるのよ。
この前、孤児院に遊びに来てくれた時にわたくしは言ったわよね、もうしばらくしたら知り合いが来るって」
ルーエルテスの一人称は、世界ではあまりいないんじゃないかと思われる『わたくし』である。
最も、まるでお嬢様のような一人称とは裏腹に、彼女の口調自体は、例えていうなら少々あーぱーが混じっているというべきものの為に、どうにもバランスが取れていないような気がする。
しかし慣れとは恐ろしいもので、今や彼女の会話に耳を傾けても違和感を感じる事はなくなった。裏を返せば、最初の頃は違和感だらけだったという事になるのだが。
で、そのルーエルテスの口から意味深な言葉が告げられた。
『もうしばらくしたら知り合いが来る』ルーエルテスは確かにそう言った。
それは先日の孤児院訪問の際に言われた事で、もちろん、由里もそれを覚えていた。
迂闊な事を言うとルーエルテスにからかわれる恐れがある為にその時はあまり興味が無いようにしていたのだが、内心ではどんな人が来るのかとちょっと気になっていたのだ。
「あ、確かにそんな事を言っていましたね。
で、その流れから察するところ、もしかして今日来ているとかですか?」
由里の返答に対し、ルーエルテスはその答えが告げられる事を分かっていたかのように答える。
「まあ、普通は其れくらい察知できて当然よね。
丁度今朝早くに孤児院に着いたのよ。
そのやんわりとした物腰と面倒見の良さから子供達にも好かれてて、その人が来た途端に子供達が群れを成して突撃したくらいなんだから。
だから今、子供達の遊び相手をしてもらってて、その間にわたくしが買い物に来たって事」
突撃というのは表現的に合ってないんじゃないかと思いながらも、実際にたくさんの子供達に突撃された経験のある由里には、その言いようを完全に否定する事はできなかった。
「じゃあ、今行けば、その人に会えるって事ですね?」
「そう。その通り。
由里も一旦顔だけでも合わせてみればいいんじゃないの?由里だって子供達に突撃されるっていう同じ苦労をしたんだし」
「確かに其れは正解ですけど…」
「なーに迷ってんのよ。女は度胸、男は愛嬌って言うじゃない」
「それ完璧に逆じゃないですかっ」
「冗談に決まってるでしょ」
と、ちょっとしたコントを交えながらも、由里はルーエルテスについていく事にした。
同時に、帰りがちょっと遅くなっちゃうな、と思って心の中だけでシャロンに謝っておいたが、こんなところで謝ったってシャロンに届くはずも無いし、口にしなければ伝わる訳も無い。
だから、帰ったらちゃんと理由を話そうと心に決めて、由里は歩みを進めた。
世間話を交えながらよく知った道を歩いた末に目的地にたどり着く。
目の前にそびえ立つ建物は、丸天井にたくさんの窓がついているドームのような建物。
やや古ぼけた門の表札には『ラクシュミ孤児院』と書かれている。
「あらら、やっぱり凄い事になってる」
孤児院の門をくぐると、その先には由里が滅多に見ない光景が広まっていた。
孤児院の外にいたのは、三歳から七歳位の男の子と女の子達合わせて二十五人ほど。
孤児達は団子みたいに一箇所に集まって、自分達と明らかに背丈の違う一人の人間を取り囲んでいた。
「た、確かに…だけど、子供達が凄く嬉しそう…」
「人柄の良さがあの人の取り得の一つだからね。
それに、子供の目は何よりも物事を正確に見抜くものよ。あのきらきらと輝く目は、本当に信頼した人にしか見せないものなんだし」
「…あれ?」
刹那、由里は脳裏に何かが引っかかる感覚を覚えて、頭に右手の人差し指を当てて考え込む。
目の前で子供達に囲まれている人間は、確か、どこかで―――。
由里が記憶の糸を手繰り寄せている最中にあっても、ルーエルテスは我関せずといった感じで子供達に近づいていた。
「あー、もう、もう。
子供達―!そろそろ離れたらどう?」
「あ、院長先生だ―、逃げろ〜」
「離れろ―」
「きゃ――っ!!」
そうして、子供達は蜘蛛の子を散らすようにあっちこっちに駆け出していった。
ふざけながらもきちんと言いつけを守っているところが偉い。
因みに、由里が立っている場所は子供たちから見れば木陰の影にあたる場所だったために完全に死角となっていたようだった。普通なら、子供達が由里の姿を見かけた途端、いっきにだだだだ―――っと走ってくるからである。
その内にも子供達から解放された人物が、ルーテルテスの『で、あっちに居るのが、たまにこの孤児院に来てくれる子で…』という声と共に由里の方を振り向いたその時だった。
その顔を見た時、由里の脳裏に記憶が呼び起こされる。
忘れもしないあの時、お爺さんとお婆さんを同時に亡くして途方に暮れている由里。
その時に、事の真実を伝えてくれた人物―――。
忘れもしないあの日、由里がこの世に誕生した時からずっと一緒に居てくれた、何よりも大切なお爺さんとお婆さんを同時に亡くした。
戦いによって砂埃と火災と崩壊が巻き起こったせいで赤と黒に染まった空を見上げて、天樹由里は泣いていた。
あちこちで救助活動と消火活動が行われていたが、由里の耳には何も聞こえなかった。
そして半年後、軍と『賢人会議』との戦いに巻き込まれて、子供達がその小さな命を失った。
クレセント孤児院の院長であるワイス・ゲシュタルトは子供達のお墓の前で、涙ながらに呟いていた。
『辛かったでしょう。
苦しかったでしょう。
大丈夫。僕はここに居ますから。
―――だから、お休みなさい』
と。
由里にとっては、クレセント孤児院の子供達は、話しすらした事の無い見知らぬ子供達だった。
だけど、その死を目の前にしてしまった時、由里は泣き出していた。
子供達が死んだ事を認識した刹那、かつてお爺さんとお婆さんが死んだときの事が脳裏に思い出された事もあったのだろう。
あふれ出る感情を抑えきれず、見知らぬ子供達の為に涙を流していた。
―――その時、肩に優しく手が置かれた。
『ご無事…ですか?』
振り向いた先には一人の青年がいて、優しく声をかけてくれた。
その時は、言葉を発する事すら出来なかった。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を隠す事も出来なかった。
心の隅々まで悲しみという感情が駆け巡っていて、それどころではなかった。
青年は、由里が泣いている原因を探るような事は一切言わなかった。
青年は無言のまま、腰につけた袋の中から綺麗な白いタオルを取り出し、由里の涙を拭ってくれた。
―――その言葉が、その行動が引き金となった。
その直後に、由里はずっと泣き続けた。
胸のうちに溜まっている何かを総て吐き出すかのように。
涙が総てを洗い流してくれる時を待っているかのように。
柔らかい白いタオルが、流れる涙を拭ってくれた。
『―――僕は、この騒動の首謀者を知っています』
やっとの事で由里が泣き止んだその時に、頼んでもいないのに青年はそう告げた。
だがその刹那、由里の心の中に何かが跳ね上がるような感覚が巻き起こり、同時に、青年にその答えを求めていた。
『あなたは被害者です。
故に、知る権利を持っています。だから教えるんです。
ですが、余計な混乱を招かない為にも、この事は他言無用でお願いします。それが守れるなら――』
由里は、無言でこくんと頷いた。
青年は少しの間を作った後に、真実を告げる。
『―――今回の騒動の犯人は、シティ・モスクワやシティ・ニューデリーでマザーコア略奪事件を次々と引き起こした奴らと同一人物です。
その名を『賢人会議』と言います』
シティ・ニューデリーという言葉に、由里の体が反応した。
気がつけば、自分でも知らない内に青年に詰め寄ってしまっていた。
あの事件の事を知っているんですか。と。
そんな由里の様子に何かを感じ取ってくれたのか、青年は次にこう言った。
『…まさか、あなたはシティ・モスクワやシティ・ニューデリーで何らかの事件に巻き込まれたのですか?』
故にその時、由里はお爺さんとお婆さんの事を話した。
…その話が終わった時、青年は顔を俯かせて、歯を食いしばっていた。
『何で事だ…それでは、あなたは二度も『賢人会議』の事件に巻き込まれた事になるんじゃないか…」
――もう、何がなんだか分からなかった。
どうして自分が、そうならなくてはならないのか。
また、涙があふれてきた。
『申し訳ありません、タオルが一枚しかないんです』
その時に由里は全てを知り『賢人会議』との戦いを決意したのだった――――――。
――その青年が、今、目の前に居る。
そして此方を振り向いた時、その
由里の発言の後に、銀髪の青年は左腕を曲げ、紳士的なポーズを取って一礼した。
ならば、此方も答えなければならないだろうと思った時には、既に口が動いていた。
「はい…お久しぶりです」
クレセント孤児院の院長の部屋に案内された由里とハーディンは、テーブルの椅子に向かい合うように腰掛ける。
だが、久しぶりに会った為にどこから切り出していいのか分からず、椅子に腰掛けてからも由里は沈黙を保ち続けた。
ハーディンの方もそうらしく、彼もまた依然として沈黙を保っている。
因みに、ルーエルテスに『お見合いかな?』と茶化された時には『絶対に違います。といいますか、寧ろルーエルテスさんが狙ってるんじゃいですかっ』と言い返しておいたところ『わたくしには待ち人が居るからね』と簡単に切り替えされた。
「…とまあ、そんな漫才は置いておいて、さっさと本題に入りましょうか。
ハーディンさんだって忙しい中、時間を削って此処に居るんでしょ?」
時間は待ってくれない。
さっさと本題に移行したほうがいいと判断したらしいルーエルテスが椅子に腰掛け、口を開いた。
「…いえ、今の僕はちょっとした事があって単独行動をしています。
申し訳ない事に、今、その理由はちょっとお話できませんが…」
「無理に話してくれなくてもいいわ。
じゃあその件は置いておいて、先ず最初にわたくしから聞かせてもらっていいかしら?
つまり、あなた達の話から察するに、ハーディンさんと由里は面識があったって事?」
「あ…はい」
小さな声で頷く由里。
それと同時に、その台詞がスイッチとなったかのようにハーディンが口を開いた。
「由里さん、僕と出会った時の事を説明してもよろしいですね?」
「…はい、大丈夫です」
「…分かりました。それなら僕からお話しましょう。
由里さんとは、とある事件を元に知り合う事が出来ました。
逆に言えば、あの時出会う事が無ければ、今のこの時は無いかもしれなかったでしょう」
「…申し訳ないのですが、あの時…とはまさか、クレセント孤児院の件ででしょうか?」
一瞬の間を置いて、確固たる確信を持った表情でルーエルテスから答えが返ってきた。
刹那、クレセント孤児院の件、という言葉に対して由里の心の内に『悲しくて辛い』という感情が湧き上がるが、何とかそれを心の中に押し止める。
もう動かなくなってしまった子供達の事を思い出してしまって涙が出そうになったが、ここでまた泣き出して話の腰を折るわけにはいかない。
心を抑えるのに必死な由里は、会話に参加できずに、ただ二人の話を聞いているだけしか出来ない。
そんな中、軽く息を吐いた後に、ハーディンはゆっくりと口を開く。
「ええ、彼女と…由里さんと出会ったのは半年ほど前です。
クレセント孤児院の子供達が犠牲になった時、由里さんはそこに居合わせていて、見知らぬ子供達を埋葬するのを手伝ってくれましたし、何より、子供達の為に泣いてくれました。
加えて、その時に、かつて起こったシティ・ニューデリーでの『賢人会議』の襲撃事件の犠牲者の中に彼女の叔父と叔母もいらっしゃった事が判明したのです。
当時はあの事件は『名も無きテロリストの仕業』だと一般には公開されておりますが、僕などのごく一部の人間だけが真実を知っていました。
その名は『賢人会議』と。
ですが、それを一般公開はしなかったのです。シティの住民達の混乱を避けるためには、仕方がなかったのですから」
「それは上の方々の方針でしょうね。
わたくしも元々は軍に所属していたから、そういうのは分かるけれど。
今も昔も軍は変わらないのね」
一瞬だけ、虚ろな瞳を見せるルーエルテス。おそらく、過去の自分の事を思い出しているのだろう。
「そうか、ルーエルテス殿は『ミッションコンプリ―タ―』でしたね」
「やだなぁ、もう軍は引退したから殿って呼ばれる必要は無いのに」
手をひらひらと振って冗談めいた笑みを浮かべるルーエルテス。
「さて、わたくしの話なんか放っておいて、由里の話の続きをして頂戴。
わたくしも由里の事情は知っているから、変な心配なんてしなくていいんだし。
―――それと、どうしてそのごく一部だけの人間だけが知っている事実を、軍とは何の関係も無い由里が知っているかっていう事も説明してもらえると助かるんだけど。
由里からは貴方のような人が居たっていう話は聞いていたけど、それが誰なのかまでは教えてくれなかったのよ。
それで今、その謎が半分くらい解けたところなのかな」
「うん…ごめんねルーエルテスさん。黙ってて」
本当に申し訳なさそうな口調で由里が口を開く。
「構う事ないわよ。
普通、そんな事他人に言うような事じゃないしね。由里の気持ちは分かるから安心して。
―――で、話を戻すわ。
実は前から不思議だったのよ…どうして由里が『賢人会議』の事を知ってるのかって事が。
そしてハーディンさん、状況からして、貴方が『賢人会議』の事を由里に教えたとしか思えないんだけど?」
だが、次の瞬間にはいたってまじめな顔に戻っていた。
その瞳が告げている―――これは一体どういう事なのか、と。
貴方が軍の機密を他言するような人だとは思っていないけど、それだったらきちんとした理由が言える筈だ。と。
「―――そうですね。あなたになら話しても大丈夫でしょう」
一息置いた後に、ハーディンは続けた。その顔には焦りも何も見られない。ただ、凛とした表情がそこにあるだけ。
空気が静まり返り、ハーディンを除く二人は一言も発しない。言葉を発するべきときではないと悟ったからだ。
「何と言いますか…クレセント孤児院の件で、彼女が半年前に一人ぼっちになってしまったと聞いた時、どうしても教えずにはいられなかったんです。
彼女は被害者です。真実を知る権利がありました。
これは軍の意思でも何でもなく、僕個人が独自で判断したが故の行動でした」
「でも、どうして由里だけに?」
「…それを説明するとなると、ちょっとお時間が必要ですがよろしいでしょうか?」
「ここまで引っ張っておいて今更そんな事言う?貴方ってほんと固いのね。
まあ、単刀直入に言うとわたくしとしては構わないわ。由里は?」
「私も構いません」
「そうですか…では、先に全てを話してしまいましょう」
凛とした表情で、ハーディンは口を開いた。
「そうですね…実を言うと、クレセント孤児院の事件の前にも、由里さんの姿を確認した事があったんです。
それが、一年前にシティ・ニューデリーで起こった『賢人会議』が引き起こした事件の時でした。
その時は僕は他の任務があって戦う事が出来なかったので、街の人達の無事や、襲撃した者達の特徴を聞いて回ってました。
そして、無事を確認するために僕が手を差し伸べた中には由里さんの姿もありました。だから、由里さんの姿だけは覚えていたのです。
でも半年後に再会した時、由里さんは僕の事を覚えていませんでした。
しかし、それは仕方の無い事だと思います…状況が状況でしたから。
ですが、まさかこんな形で再会するだなんて予測だにしていませんでした」
「そう…だったんですか…すみません、そんな大切な事を覚えていなかったなんて…」
諺どおりに『開いた口がふさがらない』状態になる由里。
無理も無い。今の話で、ハーディンは今からおおよそ一年も前に由里と出会っていたという事実が発覚したのだ。
そして、当時は仕方が無かったとはいえ由里はその事を覚えている余裕が無かった事を、今更ながら恥じた。
「…その事件ならわたくしも知ってるわ。相当な被害が出た事件なんでしょう。
幸いにもこのラクシュミ孤児院には被害こそ無かったけれど、もし『賢人会議』の手がここまで及んでいたらと思うとぞっとするわ」
ルーエルテスの声は非常に静かなものだったが、その言葉の裏に隠された懸念を読み取るには十分なものだった。
「しかしおかしいわね…確か、シティ・ニューデリーのマザーコアって一度も交換した事がないって聞いていたんだけど…」
「…え?」
ルーエルテスの発言に、由里は自分の耳を疑った。
「…これは軍の最高機密なんだけど、前にシティ・ニューデリーのマザーコアにされた人の息子さんが、今の『執政官』をやってるのよ。
アニル・ジュレ。大戦に参加した後天的魔法士で、能力は炎使い。
戦後からずっとマザーシステムの改良を行ってきた人物で、彼のお陰でシティ・ニューデリーのマザーコアは、今までのマザーコアではありえない筈の耐久力を持っている。だから、交換の必要が無い訳…そうでしょ、ハーディンさん」
ハーディンは二秒ほどの間を置いて、言葉を紡いだ。
「やはりご存知でしたか…。
ですが、それには裏があったのです。
基本的にシティ・ニューデリーはマザーコアの量産を行う事を禁じておりましたが、マザーコアとなる魔法士を他のシティとの交渉条件に使って、己の保身に勤めようとした輩が居たそうです。
おそらくそのせいで、一年前のあの日『賢人会議』はシティ・ニューデリーを襲撃したのでしょう。
…と、今はこの話より優先すべき話があります。まずは、話を戻しましょう」
話の脱線に気づいたハーディンが、話を元の路線へと戻るように促す。
今の話について由里は質問を投げかけようと思ったが、ハーディンが話の路線を元に戻したために、質問の機会を逃してしまった。
「続けますね…。
だけど、そんな中、僕は彼女を…由里さんを見つけたんです………」
当事者の一人である由里には、その隣で黙りこくって俯いたままハーディンの話を聞いている事しか出来なかった。
脳内に浮かび上がるのは、今はもうこの場にいないお爺さんとお婆さんの姿。
子供達の件といい、先ほどから胸のうちにこみ上げ続ける感情を押さえ込むのに必死で、まともな口なんて開けない。
俯いたまま、ずっと耐えるのみ。
いっその事泣いてしまえば、楽になれるのだろう。
だけど、泣かない。
まだ我慢できる。
涙なら、あの時流したんだから。
次に泣くときは、もう、決めてあるんだから。
そんな由里を気遣ってか、二人は何も指摘せずに話を進める。
「正直、事情を聞いて驚きました。何せ、一度ならず二度も『賢人会議』絡みの事件に巻き込まれてしまっていたのですから。
…もしかして『賢人会議』と由里さんには何らかの接点でもあるんじゃないかと思ってしまいそうでしたが、由里さんのような方を『賢人会議』と一緒にされてはさぞ不快でしょうし、それに、由里さんの行動からそれはありえないと思います。
これは、本当に本当です」
(…!!!)
ハーディンのその台詞に、一瞬、心臓がどきりと高鳴る。
それと同時に、表情に陰りが訪れた事に自分で気づく。
だが、幸いにもその様子は他の二人には気づかれなかったようだ。
その間にも、ハーディンの話は佳境を迎えていた。
「だから、由里さんには全てを話したんです。
先にも述べましたが、彼女には知る権利があると僕が判断したんです。
『賢人会議』の下らない目的に巻き込まれて、たくさんの大切なものを失ってしまった。
故に僕は、『賢人会議』について知っている事を全て話しました。
それ以降由里さんとは会っていません…これで、僕の話は終わりです」
ハーディンは肩の力を抜いて、ふう、と軽く息を吐く。
刹那、今まで話を持ちかけられなかった由里に、突如としてルーエルテスが疑問を持ちかけてきた。
「由里…ハーディンさんが嘘を言っているとは思えないけど一応聞いておくわ。
ハーディンさんが言った事は、全て正解なのね?」
「…あ」
いきなりの出来事に由里の反応が遅れた。
同時に、今まで心の中で押さえつけてきた涙のタガが外れそうになるが、必死で堪えて口を開く。
「…はい、その通りです。
クレセント孤児院でハーディンさんが事の真実を教えてくれなかったら、きっと私、今頃はお爺さんやお婆さんの仇の名前を知らないで、途方に暮れていて、どうすればいいか分からなかったと思います」
由里のその答えを聞くや否や、ルーエルテスは額に手を当てて溜息を吐いた。
「呆れた…ハーディンさん、貴方其れでも軍人なの?リスクを全く考慮してないじゃないの。
情報漏えいの可能性を考えなかったわけではないだろうけど、その時その時の考えと感情に流されての行動…とても褒められたものじゃないわよ。
………だけど、あなたの行動は人として正しかったってわたくしは思う。わたくしだって、あなたのような状況になったら、きっと同じ事をしたんだと思うわ」
言葉の最後の方になるにつれて、ルーエルテスの呆れ顔は笑顔へと変わっていった。
「え、えーと、ハーディンさん…でいいんですよね?」
その時、ちょっと控えめな姿勢でおずおずと由里が尋ねる。
「ええ、それで結構です」
ハーディンは笑顔のまま返事をした。
「それならそう呼ばせていただきます」
椅子に座ったまま深々と頭を下げる由里。
その後、くるりとルーエルテスの方へと振り向き、言葉を紡ぐ。
「…ごめんねルーエルテスさん。
だけど、ハーディンさんの事はどうしても話せなかったの。
だって、そうしたら、ハーディンさんにも迷惑がかかっちゃうから。
でもそのせいで、ルーエルテスさんに秘密を作っちゃったから…それで…その」
最後の方になるにつれて、言葉が小さくなってくる。
本当に申し訳ないという気持ちが、由里の言葉の中に含まれている何よりの証拠だ。
ルーエルテスもそれを理解したらしく、微笑みを浮かべて柔らかい口調で答えた。
「その事を責める心算はないわ。
わたくしだって由里みたいな状況に置かれたら、きっとその事を誰にも話さないと思うから」
「…ありがとう、ルーエルテスさん」
「どういたしまして。
…と、ところで由里に一つ聞きたいんだけど、いい?」
「はい」という返事と共に、由里は首を縦に振る。
「…じゃあ聞くね。
クレセント孤児院で知り合った人の名前、覚えてる?」
一瞬、ルーエルテスの質問の意図を測りかねたが、それでも覚えている事だったので素直に口にする。
「えーと、確かワイスさんだって言ってました。
孤児院の子供達の亡骸を、ワイスさんと共に弔ったんです」
「では、そのワイスという人は今何処に?」
これはハーディンからの問い。
「分かりません。
数ヶ月前にクレセント孤児院を訪ねたけれど、もうその時には何処かへ行ってしまったらしく、孤児院の扉に張り紙がしてありました。
だから、あれ以来会ってないんです」
「…もう終わりにしましょう。それが分かっただけで十分よ」
「え?」
急に横から放たれた声に、由里は少なからず驚いた。
振り向いた先にあるルーエルテスの表情は、奈落の底とやらを体現したかのようにとても暗かった。
「…いない人の話をしても仕方が無いじゃないの。
だから、違う話をしましょう…」
「…」
それだけではない、と由里は思った。
おそらく、ルーエルテスには由里が知らない『何か』がある。
だが、それを問いただす権利など由里には無い。
「…分かりました。貴女がそういうならそうしましょう」
ハーディンもそれを悟ったようで、言葉を選んで口に出す。
「そ、そういうこと」
先ほどまでの暗い顔はどこへやら、ルーエルテスはいつもの笑顔を浮かべていた。
一時だけとはいえ暗くなった空気が、段々と明るくなっていくような、そんな感じ。
「…ところで、正直なところ、これを聞いていいのか迷ったのですが、一つ、質問をしてよろしいでしょうか?」
先ほどまでに比べると、僅かにゆっくりとした口調でハーディンは告げる。
顔つきが神妙なものになっていた事から、それが大事なものであるという事を理解する二人。
「うん、私に答えられる事なら」
「ええ、構わないわ」
由里とルーエルテス、それぞれの個性が出た返答。
「…なら、単刀直入に申し上げましょう」
一呼吸置いた後に、凛とした表情でハーディンは告げた。
「え、ええ!?」
「それは―――」
ハーディンからの突然の申し出に、由里とルーエルテスは驚きを隠せなかった。
そんな二人とは対照的に、ハーディンは凛とした表情のまま続ける。
「僕が何を言っているのかは、僕自身でも分かっています。
ただ言っておくと、これは、僕個人の判断での行動であり、軍の方針に従ったものではないという事を最初に覚えておいてください」
「は、はい…」
これは由里の反応。
「――僕はシティ・メルボルンに所属する軍の人間として『賢人会議』を追っているのです。
あの時の襲撃事件のせいで、多くの人々が命を失いました。
だから、もう、あんな事はこれっきりにしなくてはいけません。
逃げ延びた以上、『賢人会議』は絶対に人類滅亡への手段を何らかの形で発表してくるはずです。
シティ・モスクワの方ではイルが対策を練っていて、様々な者達に『賢人会議』の行方を探らせているようですが、一向に見つからないようです」
「イル?イルって、あの幻影No17!?」
「ルーエルテス殿はイルの事をご存知なのですか?」
「実際に会ったことは無いけどね。
ただ、シティを守る気持ちがとても強いのと、その為に手段を選ばないっていう話を聞いた事があるだけ」
「いえ、それが真実です。
イルは…彼は凄い人だと思います。
彼は、シティに住む人も魔法士達も全て助けたいと思っていて、その為に最小の犠牲で多くの人を生かす為の選択肢を選びました。
彼の考えに賛同できるものがあったからこそ、僕も今、シティの人々を守る為に行動しています。
…お二人が『賢人会議』に敵対する考えを持っているなら、こんなところでくすぶらせているのはあまりにも勿体と思います。今は、世界全てが協力しなくてはならないのです。
どうかお願いします。世界の為に、人々の為に」
机に両手の手のひらをつけて、ハーディンは頭を下げる。
その光景が、由里にとっては異形な光景に見えた。
『聖騎士』とあろうものが、シティ・ニューデリーの一般市民に過ぎない二人に頭を下げている。
厳密にはルーエルテスは『元』軍所属の人間ゆえに一般市民と言うのは語弊があるのだが、本人は至って気にいていない模様だ。
「…悪いけど」
少しの間を開けた後に、ルーエルテスが口を開いた。
「いくら貴方のお願いだとしても、わたくしにはこの孤児院を守るって役目があるから、再び軍につく事は出来ないわ。
折角協力を要請してくれたのに、申し訳ないわね。
…あ、でも、その代わりといってはなんだけど、ここに居たまま由里やハーディンさんの為に作戦を練ることは出来るわ。
それで構わないっていうんならいいけど…」
ルーエルテスの回答は、どちらかというと否定に当たるものだ。
だが、そんな答えを聞いても尚、ハーディンの表情は崩れない。
残念だという感情も、怒りの感情も全く見られない。未だ持って冷静さを装っている。
おそらく、ルーエルテスの心の中では答えが決まっていたのだろうし、ハーディンもこうなる事を知っていたのだろう。
ハーディンとルーエルテスがお互いの名を知るような仲であれば、互いの考えなど分かっているはずだろうから。
「いえ、それでかまいません。僕は絶対に強要はしませんから。
…その代わり、その『作戦』とやらに集中してください。
『ミッションコンプリーター』と呼ばれた貴方の手腕、期待していますよ」
次の瞬間には、笑顔でそう告げる。
「任せといて」
年相応の小さな笑みと共にウィンクして答えるルーエルテス。
「…それでは、由里さんは?答えは出ましたか?」
今度は話の矛先が由里へと向かった。
だが、由里にはこの場で答えを出す事が、どうしても出来なかった。
たくさんの命を、そしてお爺さんとお婆さんの命を奪った『賢人会議』が憎いのは事実だ。
だが、こうも早く『時』が来るとは思ってもいなかった。
頭の中では色々と考えていたのだが、いざ行動に移すとなると答えが出てこない。
いや、答えなど最初から出ている。あの日、あの決意をした日からずっと変わらない答え。
しかし同時に、未知への行動へと踏み出す事を恐れている。
どうしても最後の一歩が踏み出せない。自分の事だからこそ、それが由里の欠点だって分かっている。
だが、ここで曖昧な答えを返してもハーディンを困らせるだけ。
そう考えた末に、由里はこう返答した。
「―――考えさせて下さい」
「構いません。僕は暫くはこのシティに居ますから」
ハーディンは笑顔を浮かべて、由里のその意思を汲み取ってくれた。
家に帰ってから、由里はひたすら考えた。
食事時にも考えに没頭してしまっていたために、ご飯をぽろぽろとこぼしてしまい、それをシャロンに指摘された。
「今日の由里さんはどうしたなの?
帰ってきてから、ずっとぼうっとしているなの」
「え?そ、そう?」
図星をつかれて一瞬どきっとしてしまったが、何とか切り返す。
「うん…まさか、どこか具合でも悪いなの!?
それだったら私に言ってくれれば『
心配という言葉をこれでもかというほどに表情に露にするシャロン。
「大丈夫。心配なんてしないで。
新しい能力の案が出てきそうで出てこないから、どこが間違ってるのかなってちょっと悩んでただけです」
咄嗟に口から出る出任せ。
最も、由里の能力からすれば、それは一応可能な事だから正当な理由となるのだが、基本的に由里は嘘をつくのが嫌いなのである。
其れは時と場合によるもので、由里としてはこの事をシャロンに話していいのか迷っていたと言えども、やはりシャロンに嘘をつくのは辛いものがある。
もし話してしまえば、話の流れ次第では、今までどうしても言いたくなかった事を口にしなくてはならない。
先日、シャロンには由里が『賢人会議』への復讐を誓う為の理由を再現して見せてあげたが、その再現した部分の都合上、あの時はシャロンに見せる事の無かった真実を教えなくてはならない。
実はその真実は、お爺さんが金庫に残したノートに書いてあった。
だが、あの時はぱぱっと内容を確認しただけで終わった訳であり、そのノートの全てを一字一句読んだわけではなかった。
お爺さんとお婆さんの死に対する衝撃と悲しみの方が大きかった為に、それどころではなかったのだから。
そして後日、クレセント孤児院で子供達が殺された事件をきっかけに、由里はそのノートを改めて読み直した。
戦える力が欲しかった。
お爺さんとお婆さん、そして、子供達の敵を取りたいという強い思いと共に、一字一句、しっかりとノートを読み込んでいた。
――――――天樹由里は、け………。
―――思い出したくないという思いと共に、思い出すのを中断した。
…ダメだ。と思った。
まだ話せる事じゃないと、即座に悟った。
それと同時に、シャロンに話すべき内容が決まった。
――――――そして、夕ご飯が終わった時に、由里は、ハーディンから話された話の内容をシャロンに話した。
彼方此方で横暴を振るう『賢人会議』に対し、本格的に討伐作戦に乗り出すという事を。
シャロンは目を瞑ってしばらく考えこんでいたようだが、最終的には、
「大丈夫なの。訳あって危険な事には慣れてるなの。それに、『賢人会議』を倒さないと、シティの人達に安息が訪れないなの」
という答えと共に、由里に賛同してくれた。
――腹は決まった。もう戻れない。
由里は心の奥底でそう呟き、力強く頷いた。
シャロンと別れて、寝室まで戻ってきた。
眠る前、一人になったその時に、由里はこの言葉を心の中だけで口にする。
今の今まで、誰にもばらしていない、秘密。
今の由里は『賢人会議』を倒す事で頭がいっぱいで、実際にその事を考える余裕も余り無かった。
だが、それでも時折、お爺さんの遺言の中の一言を思い出すのだ。
『…実は、あそこにはな…もう一人、魔法士が居たはずなんじゃ…。
じゃが、先客が居たのか、或いはそいつが自分の意思で目覚めたのか、いくら探しても見当たらなかった。
そして、その名前はな………』
その時何て言ったのかは、お爺さんの声がかすれた為に聞き取れなかった。
だが、後に残されたノートを見て、その名前が判明した。
――――――天樹論。
それが、天樹由里のたった一人の本当の肉親にして―――お兄ちゃんの名前。
「………」
由里は無言のまま、ベッドの上で俯いた。
お兄ちゃんが何処に居るかは分からないが、それでも、生きている事だけは分かる。
何故なら、一度だけだが、兄の存在を確認できた時があったから。
その時に、顔も知った。
…正直に言うと、かっこよかった。
だけど今は、由里は自分の使命を果たしたかった。
兄に会うのはその後だと、心の中に決めていた。
私情に流されて作戦を失敗してはいけないと思っていたから。
しかし、それでも、やはり由里の心の中には『一人は嫌』という気持ちがあった。
そう思うたびに、兄の事を思い出すのが辛かった。
思い出すと、寂しさに負けてしまうから――――――。
そして今日も、やっぱり寂しさに負けてしまった。
人前では決して発しない筈のその言葉が、一人きりになった今だからこそ口からこぼれ落ちた。
そして、由里はお気に入りの白い枕を抱きしめて――泣き始めた。
枕には、涙の後が次から次へと増えていった。
―【 おまけどころじゃない存在感になっちゃってるらしいキャラトーク 】―
ノーテュエル
「なんとぉ―っ!!
由里と聖騎士は知り合いだったのね!!」
ゼイネスト
「まあ『一人の『新たな騎士』』のところで気づいた人がいるかもしれないがな。
『家族を亡くして独りぼっちになってしまい、泣きはらしていた一人の少女』って記述のところだな」
ノーテュエル
「『FJ』のスタートから十五話ほど経過して、やっと一つの大きな動きが始まるのかな?
戦闘らしい戦闘が殆ど出てないから、戦闘好きな読者にとっては退屈かもしれないけど」
ゼイネスト
「そうは言ってもな…。
DTRでやりすぎたから、それを反省して戦闘は少なめにしてあるんだって作者は言ってたぞ。
それにダンクーガだって、合体まで十六話を要したじゃないか」
ノーテュエル
「同盟にダンクーガなんて知ってる人どれだけいるのよ…」
ゼイネスト
「他にも『FJ』から参戦した四人の新メンバーのキャラ掘り下げとかもあったからな。必然的に話が長くなる訳だ。
まあ、聖騎士はつい最近出てきたわけだが。
因みに彼については、ここからかなりの出番があるらしいぞ」
ノーテュエル
「ていうか、これだけの人数をどうやって動かすのよ作者…」
ゼイネスト
「場面分割しかないだろうな。
でも、三雲丘斗先生の『ランブルフィッシュ』だって、キャラ数は異常だったぞ」
ノーテュエル
「いや、あの人はもうプロ作家じゃん。
んで、この作者はド素人じゃないの」
ゼイネスト
「そこはつっこまないのがお約束だろ。
要するに『一度しかない人生なんだからやるだけやってみる』って奴だ」
ノーテュエル
「考えすぎるのはよろしくないっていう事ね」
ノーテュエル
「さてさて、次はどんなお話になるのかな?」
ゼイネスト
「いきなり話を切り替えたな」
ノーテュエル
「まぁね〜。
作者はこの物語を何年かかっても完成させる心算らしいし」
ゼイネスト
「二次創作にそこまでつぎ込む人間も凄いよな。
でもこれで、少なくとも【敵を倒したら次の敵が現れて、『俺達の戦いはこれからだ!!』てな感じで打ち切りになるアニメ】のノリにはならなくて済むって事だけが証明されてるって事か」
ノーテュエル
「ノリとしてはそうなるわね。
あと気になるのは、ルーエルテスの反応ね。
なんでワイスの話が出た途端…って、まさか!!」
ゼイネスト
「…その『まさか』じゃないのか?」
ノーテュエル
「今度ワイスを召還出来たら問い詰めてやるわ」
ゼイネスト
「そうだな…。
んじゃ、今日はこの辺で切り上げるか」
ノーテュエル
「もう!?早くない?」
ゼイネスト
「これ以上言ったら、作者の言う事が無くなってしまうだろ。
せめて『あの事』だけは作者に言わせてやろうぜ」
ノーテュエル
「あー…そっか」
ノーテュエル
「つーわけで次回は『幕間 ―― 称えられ、疎まれた者 ――』なんで、気が向いたら見る程度でよろしく〜」
ゼイネスト
「その発言、ぶっちゃけすぎるだろ!!」
<作者様サイト>
Moonlight butterfly
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