青きクリスマス
「クリスマスパーティー?何だこれは、天樹真昼」
「えっ知らない?クリスマスて言うのは1月の」
「クリスマスくらい知っている。しかも、嘘を教えようとするな」
「いや、正教会なら1月7日だよ」
「そうなのか、それは知らなかった。って違う、そこでは無くて。なぜこんなものが企画書の書類にあるのかを聞いている。話を変えようとするな」
「あれ、ばれたか。ちょっとね弟から来たんだけど。できれば、サクラに行ってもらおうと思って」
「なぜだ。弟から来たのだろう。ならば、貴方が行くのが道理だ」
「でもね。絶対月夜も来るからさ。そのまま捕まるかも」
「確かに、だが私である必要はないのではないか。ディーとかセラでも」
「あの子たちは用事があるから無理だって。クリスマスだしね」
「そうか。それならしょうがない。私が行こう」
「よろしくね」
「イルあんた、12月の15と25日暇?」
「ああ暇やけど何かあるん?」
「なんかね、錬とフィアがクリスマス会やらないかって言っているんだけど」
「はぁ、何言うてんねん」
「なによ、そこまで否定することないじゃない。確かに賢人会議とかほかのシティの人たちにも出しているって書いてあったときはびっくりしたけど」
「いや、そこやのうて、クリスマスは1月7日やろ15も25も関係ないやん」
「何いってんのよ。クリスマスは12月25日に……。そうか、ここロシア正教か。なんか昔真昼から聴いたような気がするわ。クリスマスの日にちが違うんだっけ」
この誤解を解くため日本のクリスマスについての話をする。
「なるほど、やから前に教会の子供たちのためにプレゼント用意しとったんやけど、その時の相手がおかしかったんはそんためか。プレゼント用意を年末までにしろと言うたら24日までじゃなくていいんですか。と聞かれたんや」
「別にその話はいいんだけど。それよりもいけるの?」
「ああ大丈夫や、プレゼントは用意できてるし。賢人会議が来るんやったら、真昼を連れ帰るチャンスや。これで、契約はおわりやな。」
「そう簡単にはいかないわいよ。絶対真昼は来ないわ。それくらいわかっているだろうし。だからあんただけ行って。私はまだここですることがあるから。っていうより、そんなに私がいると邪魔なの?ここに居させてもらっている分ちゃんと働いてるはずだけど。」
「それは間違いないんやがな。お前どっちが上司か分かってへんやろ。何でお前に指示される回数のほうが多いねん」
「それは、あんたがちゃんとしないからじゃない。」
「それが理由か?今回のようにお前のわがままのほうが多いきがするんやけど」
「そ、そんなこと無いわよ。それより行けるのか行けないのかはっきりしてよ」
「それは行けるって言うたやないか。っていうか、お前の頼み断るわけないやん」
「えっ」
「エド、フィアちゃんから手紙。クリスマスパーティーの招待だって。」
「クリスマスパーティー?」
「そうだよ12月25日にみんなで集まってケーキ食べたり、プレゼント交換したりするんだよ」
「ケーキ、まずい」
「それは私が作ったからで、本当はおいしいの。今度誰かに作ってもらおう?」
「手紙、内容」
「ああ手紙の内容ね。なんかね。12月の25日に集まるんだって。で、その前に15日でも集まれるかって話みたい。」
「錬、会える?」
「そうだね、多分、会えると思うよ。別に会いたいとは思わないけど。」
「ファンメイ、錬、仲、悪い、悲しい」
「あれ、旦那その紙どうしたんすか。」
「ああこれか、天樹錬からのメールだ。クリスマス会への招待状らしい。」
「へー、いつから行くんで」
「いや、俺は行かんぞ。二人で行ってこい」
「なんで、旦那が招待されたんじゃないのかよ。」
「招待は3人だがなちょっと俺は用事があるから、クレアヴォイアンスと行ってくればいい」
「なんか言った。私の名前が出てきたみたいだけど」
「ああ、錬たちからクリスマス会の招待状だとよ。」
「え、じゃあフィアちゃんにも会えるかな」
「たぶんな」
「なら行く」
「ということだ。その間は旦那、留守番よろしく」
“クレアヴォイアンスが行くとヘイズが行くのは決定なのか?”
△
そして12/15
「今日は皆さんに来ていただきありがとうございました」
「まずはこちらの部屋に来てください。えーと、賢人会議のサクラさんはこちらに、シティモスクワのイルさんはあちらに、世界再生機構のクレアさんとヘイズさんはそちらに、シティロンドンのエドさんとファンメイさ…。あれ、ファンメイちゃんはエド君」
「黒の水、不安定、入院」
「え、それは大丈夫なの」
「命、大丈夫、でも、12月、無理」
「そうなのですか、それは残念です。でもまたいつか会えるのを楽しみにしてるって伝えといてください。」
「分かった、フィア、ファンメイ、会いたい、伝える」
「あれ、そういえば賢人会議さんはさくらさんだけ?ディーとセラは?」
「二人は特殊な任務についている。詳しいことは教えられない」
「あれ、真昼兄からは今日はプレゼント買いで、25日はデートだって聞いてるけど」
「何、私はそんなこと聞いてないぞ」
“そうかディーとセラちゃんが、姉としてはなんか寂しいわね”
と思いながら手を強く握る。
「おい、急になんだよ」
なぜか、ヘイズの手を握っていた。
「あ、ご、ごめん」
「いや、まぁいいけどよ」
“はぁ、姉も弟もリア充やなぁ。俺には……って何で月夜が出てくんねん。それだけはありえんわ”
「会議、始める」
「そ、そうだわれわれは何でここに集められたのだ。詳しい話は何も聞いて無いぞ」
「その理由はこれです」
ジャーン、幕がはずされる。
「「「「「世界クリスマス計画?????」」」」」
「簡単に言うと、世界中の子供たちにプレゼントを配る計画です」
「いやそんなこと言うてもな。そんな多くの量のプレゼントどうやって用意するねん」
「それは、こちらで用意しますので大丈夫ですよ。ね、フィア」
「は、はい大丈夫なのです」
「それにIDのこともある。これだけの人数をどうやって準備するつもりだ。天樹錬」
「そ、それは」
「はい、それ私が作るわ。」
「大丈夫ですか、クレアさん」
「前に偽造ID作ったことあるし、今回はヘイズも黒沢さんもいるから。」
「何で俺が当たり前のように入っているんだよ」
「でも、手伝ってくれるでしょ」
「まぁ、手伝うけど」
「それならよろしくお願いしますね」
△
そして12/24
「皆さんこんにちは。今日がいい日になるといいですね」
「せやな、それよりクレア。ちゃんとできたんやろな」
「当たり前でしょ、それと私のほうがお姉ちゃんなんだからね。言葉使いはきちんとする」
「それを、お前が言うか。あれをしろ、これをもっていけ、ここの計算をしといて、ってあごで動かしていたじゃないか。俺はお前より年上だぞ」
「そ、それはいいのよ」
「その辺の事情はどうでもいいのだ。できているなら早くいかねばならないのでわないか。夜までに着かなければならないのだろう」
「確かに雲の中を通るなら早めに行ったほうがいいな。場合によっちゃ嵐があるかもしれないし」
「雲、嵐?」
「何だエド、あまり気にすることでは無いぞ。」
「それでは、行きますか。まずはシティ・シンガポールです」
△
シティ・シンガポール
‘ガシャー’
「皆、ご苦労」
「あれ、フェイさんどうしたのですか。」
「ちょっとな。気になることがあって。一つ端末を貸してくれるか」
「はい、いいですけど。珍しいですね」
‘ヴィー’
「え、警報。でも、一回だけ。フェイさんなんか分かりますか」
「いや、こちらにも何も出ていない。誤作動かも知れないしな。メインサーバーのほうに確認に行ってくる。他言無用でな」
「あ、はい分かりました」
“これでいいのだろう。真昼氏”
「ついたぜ、シティ・シンガポール。入口前に止めておくから、ちゃんと配って来いよ」
「あれ、ヘイズさんは来られないんですか」
「ああ、隠す場所が無くてな光学迷彩を掛けておかなければいけねえんだよ」
「そういうことで私も船に残るわ、本当は私の最高傑作を見ときたかったんだけど」
「そんなこと言うて、通った瞬間に警報とかおきないやろな」
「そんなに私のことが信用できないの?」
「じょ、冗談やて」
「時間、早く」
「そうだ、われわれはこんな所で時間をつぶしている暇は無い。早く行くぞ」
「なんか、すごくやる気があるなぁ。何でだろ?」
「ほんまやな。どうしたんやろ」
シティ・シンガポール
「何事も無く入れましたね」
「そうだね、まさかサングラスだけで普通に通れるとは思わなかった」
「そうだな、次に何かあったときには頼みたいくらいだ」
「それ、モスクワ相手にはせんといてな」
「そうか、それは考えていなかった」
「怖いわー、クレアに絶対作らないように念押しとかんと」
「時間、ないよ」
「うわー、本当だ早くしないと次のシティもまだあるんだし」
「でもどうしましょう。この家、煙突がありませんよ」
「うわ、本当だこれじゃ家の中に入れないよ」
「せやな、おれだけやったら量子力学で入れるんやけど」
「それじゃ、僕たちはムリですもんね」
「出来た」
「あれ、エドどこ行った?」
「ほんまや、おーいエド」
「ここ、上、見る」
「あれーエド屋根に上ってどうしたの?煙突無いよね」
「うん、だから作った」
「作ったって何を?」
「煙突」
「「「え、煙突ー」」」
「入れる、中に」
「ま、まぁ確かにこれなら家の中に入れるし、いいと思うよ」
「せやったら、入るで。あれ、サクラどないしたん。っていうかどこ行くん?」
「やはり私はマザーコアの子供たちを助ける必要がある。私は行く」
「おい何考えてんねん。そんなことして言い訳ないやろ。っていうか、シンガポールは賢人会議の同盟国やん」
「そんなこと関係ない。それに今回結んだ条約は生ぬるいと思っていたのだ。この場を借りてその意思を示させていただく。イリュージョンよ、ここはモスクワではないのだ。おとなしくしていていただこう」
「そうはいくか。どのシティの中にだって犠牲になる魔法師に泣いてくれる人だっているはずや」
「あの、二人大丈夫でしょうか?」
「うーん。大丈夫なんじゃない。先に入るよ」
「そうですね。あ、いましたよ。やっぱり寝顔はかわいいですね」
「プレゼント、どこ?」
「それはね、フィアお願い」
「はいです。情報制御発動、天使」
「今回はね、子供たちが見たことない本当の青い空の感動と美しさを夢の中だけでも見せれたらいいなと思って」
「青い空、僕も、見たい」
「花が咲いたころにいけたらいいね。エレベーターが動くか分からないけど」
「うん」
「終わりました。次に行きますか」
「そうしようか、それにしてもイルとサクラは来ないね。まだやってるのかな?」
「そうみたいですね。情報制御を感じます。今のうちに他の家にも行きますか」
「うん、じゃあエド他の家にもよろしくね」
「分かった、がんばる」
△
最終的にフィアたちがプレゼント(青い空)を配り終えるまでサクラとイルは戦っていた。
「サクラさん、イルさん終わっちゃったんですけど」
「そうか、なら戻るとしよう」
「せやな、しまいや、しまい」
あっさり引く二人に対して疑問を持ちながらも、仲裁しなくてすんだ錬はホット胸を下ろした。
その後のシティへのプレゼントは何事も無く終わった。いや、何事もなくではない。サクラとイルは疲れたと言って参加せず、エドとフィアと錬だけで行うことになった。
そのため船に残っていた一人の少女は明らかにいやな顔をしながら、そのとなりにいる青年はなんでもない顔をしながら、同じことを考えていた
““せっかく二人きりだったのに”と、そのことをお互いは知らない。
△
「ただいま」
「おうお疲れさん、錬。フィアもエドもお疲れさん。それじゃ、最後の目的地に向かうぞ」
「はい、お願いします。」
「でも、ここに何かあるのか。町があるなんて聞いたこと無いが」
「多分、大丈夫のはずです」
「自信は無いってか、まぁ行ってみれば分かるだろう」
そして目的地
「えーとこの辺だな。お、建物がある。あの辺に着陸させるぞ」
「なら、自分は無線で連絡つけてみます」
「よろしく」
そしてHunter・Pigeonが着陸しドアが開いた時、建物からも人が出てきた。
「真昼兄ぃ」
「やぁ、錬。元気してた」
「天樹真昼、貴様なぜここにいる」
「いや、それはね」
「言い訳などいい。正直に話せ」 ナイフが出てくる
「あー、サクラだ。お帰り」
「な、な、な」
「ほら、みんな。勝手に出てきちゃだめだよ。寒いだろう」
「そんな真昼だけ、ずるいー。」
「まぁ、そういうことで」
「天樹・真昼。あなたは卑怯だーーー」
「あれ、何や何かあったん?」
「お兄ちゃん、誰?サクラの友達?」
「うーん、友達と言えるかどうか」
どっかで見た顔だと、記憶を探し出す。
「ま、いいや。お兄ちゃんも来てよ。今からクリスマスパーティーやるんだよ」
“そうか、思い出す。あの時に逃げた。いやこの記憶は消去や”
「おう、楽しそうやな。兄ちゃん、手品できるんやで。みせたるわ」
「やったー」
世界は闇に包まれている。それでも僕らは生きている。
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