Neutral wizard
Their meeting
――出会いから始まる――
I−ブレインを通して見た周りの様子を見てみるが、見えるのは施設内にいる魔法士とノイズメーカーを持っている兵士だけだ。
少し前とは人の配置が最大でも数メートルしか変わらない。その前も、そのまた前も、そのまたのまた前も、そのまたのまたのまたの前も。
見えている風景も変わらないし、自分自身も殆ど動いていないので極めて暇だ。
この際、自分が暴れてやったほうが面白いかもしれない。と、実行もしない馬鹿事を考えていると、
「暇だな。思っていたより、更に暇だ」
横でタバコを咥えているが火を点けずに端を噛んでいる男が、頭二つ分以上上にある口で言った。
「そうですね。どうせなら内職でも持ってくればよかったですね」
「アホ言うな」
冗談半分に言ったのに結構本気に取ったらしく、男の顔が一気に険しくなる。
その顔が少し可笑しくて含み笑いをすると、頭の上に大きめの手が乗せられて、布越しに乱暴に撫でられる。
「お前……からかったな?」
かなり強い力で頭を押さえられているので見えないが、細くなった目がこっちを見下ろしているのが、手を取るように分かった。
「あはははは♪」
それが更に面白く声に出して笑うと、一層強く頭を撫でられたので首を真っ直ぐに保つ事が困難となり、首が横になる。
それでも笑い続けたので更に力が入る。もはや力が入りすぎて首を圧し折らんとしているかのよう勢いだ。
「ちょっ、く、首が、お、折れる――!!」
「一回折れろ」
どんどんと力が強くなり、I−ブレインも警告を発し始めたので本当に焦っていると。
(質量物体の接近を感知)
生命の危機に対する警告の間に、違う警告が入ってきた。
「兄さん兄さん兄さん!!」
「何だ?」
遺言だけは聞いておいてやる。というかなり冷たい意味を乗せた言葉で返されたが、そんな事をいちいち考えている暇はない。
「誰か来ます誰か来ます!!」
「そうか、その前に一回首を折って――」
更に力が入り、I−ブレインがこれ以上曲げられると生命活動を続ける事が困難になると伝えてきた。――はっきり言うと、首が折れる。ということだ。
「本当ですよ!」
「……そうか」
力を入れるために鷲掴みをしていた手が離されて、やっと正常な位置に戻る事ができた首を曲げられていた方向とは反対方向にまげながら、I−ブレインに次々と入ってくる情報を口にする。
「距離、五百メートル。……騎士剣なしの騎士ぐらいの速度で接近中。身長はそれほど高くありません。外見からすると少女ですね。黒髪黒目髪をツインテールにしています」
「要約すると?」
「ロリコンな兄さんが好きそうなタイプです。あ、ツインテールじゃなくてポニーテールの方が――」
「遺言を言え」
「はいはいー、真剣に言いまーす」
視界の下のほうに鋭角が多く黒い物体が停止しているが見えた瞬間。おふざけを止める。
「もう気がついていると思いますが、――賢者会議です」
「そうか……あー。だる」
「そう言っている間に結構接近しています。後二百メートル」
「音で分かるわ」
確かに、あまり聞いていて嬉しくない音がだんだんと近づいて来ている。どうもこっちの視界を頼りにしていると、普通の視界と音を無視してしまうことが多い。
「準備は大丈夫ですか?」
「十時間前ぐらいから出来てる」
その言葉に、空気が一気に滅入った。数秒でキノコが生えてきそうだ。
この場所に釘付けとなってもうそれぐらいは経っている。時間は無情だなー。
そんなことをしている間に、距離は更に縮まってくる。
「そんじゃまあ、作戦Aからいきますか」
「始めから一つしかないだろう」
「いえいえ、実は言うと他にも少しだけ考えてきてるので」
「なんだ?」
「その時が来れば分かります。――では、作戦開始」
目の前の曲がり角から、黒い服装をした少女が飛び出してきた。
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後書き
始めましてキラウエルです。
う〜ん、我ながら何故小説を書き始めたのか分かりません。
まあ前々から書きたいとは思っていましたが、まさかインターネットに投稿するとは思いませんでした。
どうなるにしても、最後まで書いていきたいと思っております。
それまで辛抱強く読んでくださったらありがたいです。
それでは、掲示板かここの後書きで会いましょう。
作者のサイト
無いです
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