Fantatic Dream 〜Sweet angel&Little twinkle〜
本当の輝きってなんですか? 正しい強さってなんですか?
――神様――
想うことは、裏切りですか?
真っ白な、世界。自分以外のものが何も無いように静まりかえる、広い空間。
――ここ……夢の中だ…。――
心の中でつぶやいた自分の声が、まわりに反響し、消える。たれてきた金髪を払いのけ、フィアは立ち上がった。 気がついたら、ここにいた。現実と違う…違和感のある、空間。 心にふとうかんだ言葉が、なぜだか響いた。自分の部屋でない所に、知らず移動していた。夢の中であることに、間違いは無い。 靄がかかったような白っぽくかすんだ視界の中、1ヶ所さらに白く光っているように見えるところがある。とりあえず、そこに向かった。 夢の中なのだから、特に危険は無いはずだ。することがなければ、自分も無になってしまいそうで、フィアはただ歩いた。
歩き出して分かったのだが、この空間の床は、弾力のある素材でできている。 材質を調べようにも、この夢の中ではI−ブレインが使えないらしく、ただ進むしかなかった。 転ばないように気をつけていると、少しずつしか進めない。 しかしどうにか、固い床と光のあるところに来られた。 距離感がつかめないのと、ずっと回りが変わらないこともあって、ここまでずいぶん時間がかかったように思える。 もっとも脳内時計も使えないので、実際かかった時間はわからないが。 ともあれ、変わらない靄と不安定な場所から抜け出て、一安心。 軽く息をつき、目の前を見つめる。 光る場所には、1つの扉があった。 大きな扉は、フィアの背の3倍程もあって、その1番上に小さな窓があり、そこから光が見える。 その光が、今いる不思議な空間よりも現実味があって、なぜだかホッとする。 少しためらって、扉のノブを回す。軽く押すと、意外にも扉は簡単に開いた。 覗き込めるだけの隙間を空けて、扉の外をそっと見る。
――誰か…いる?――
また、声が響く。だが、フィアの意識は別の所に向いていた。 扉の先に、俯いた少女の姿があったのだ。 青いリボンで結ばれた金髪が白い光を照り返し、ちょこんと座り込んだ姿は人形のようだ。もっとも顔は見えないが。
――ここは、あの人の空間?どうなってるの?――
後ろの靄の中響く声に、答えを返すことができない。答えを知るには、あの少女に聞くしかない。
――……。
少し躊躇して、扉の外に出る。扉を閉めると、不思議な部屋を出た開放感にため息1つ。 そのまま少女のほうに歩み寄る。 すぐ後ろまで来ても、少女がフィアに気付く様子は無い。またためらってから、声をかけてみる。 「あの〜…。」 心の中の響く声でなく、しっかりした自分の声で、横から顔を出すようにして、小さく一言。 驚かすつもりは無かったのだが、少女はビクッと身じろぎして、恐る恐るこちらを振り向く。 10歳くらいだろうか。引き結ばれた口、綺麗な青い瞳。そして……涙。 「あ、えと…。」 言葉が見つからない。 フィアとしては、ちょっとお話したいなぁ、ぐらいのつもりだったので、泣いていることに戸惑う。 と、少女はキュッと目元をぬぐうと、見あげるようにしてフィアの目を見据える。 「あなた、誰ですか?」 落ち着きのある声に、やっと頭が働くようになる。 「私、フィアといいます。…あなたは?」 「セレスティ・E・クラインです。セラって、呼んでください。」 自己紹介をすませて、フィアはセラの隣に座る。ここの床は、しっかりしている。 セラに見つめられたまま、聞きたいことをまとめる。 慌てて言葉にして、意味を取り違えられないようしっかり考えて、セラのほうに向き直る。 セラの視線を受け止めるように見つめ返し、話しかける。 「セラさん……。」
【続く】
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