■■こみこみ様■■

Fantatic Dream 〜Sweet angel&Little twinkle〜 2



小さな明りを求めてはいけませんか?
私たちは明りになってはいけませんか?

――神様――

祈ることは、別れですか?




「セラさん…。」
「はい?」
続けようとした言葉が、セラの返事で一瞬行き場を失う。
「あ、えっと…。」
もう1度頭に言葉を浮かべ、続ける。
「ここって…セラさんの空間なんですか?」
「よく分からないけど、多分そうです。」
ある程度予想通りの返答。
「じゃあ、あの、私が今出てきた部屋って、なんだか分かります?」
「いいえ。」
きっぱりした答え。
(やっぱりわかんないか…。)
心の声は、響かない。そのままうーんとうなって考え込み…。
「フィアさん?」
セラの声に、我にかえる。
「あ、はい…。」
うなるのをやめて、向き直る。そのままさらに質問を重ねる。
「セラさんも、あの部屋から来たんですか?」
「いえ、違います。いつも、気がついたらここに座ってるんです。あの部屋は、ちょっと気になってのぞいただけです。」
「いつも…?じゃあ、よくこの夢をみるんですか?」
「……はい。」
なぜか俯いてしまうセラ。I−ブレインが使えない事に、今はホッとした。こんなときに心をのぞいてしまうのは、いやだからだ。
「理由…分かってるんですか?」
「……はい。」
小さな声。今セラは、口を真一文字に引き結び、無表情のままなのに悲しげに見える。
「…よかったら、その…話してもらえません?理由。」
こんな風に聞くのは、いけないことだと思う。傷付けてしまうことになりかねないし、言いたくないのに言わせるなんていけない。
(それでも…。)
それでも、聞かずにいられなかった。
(それでも、辛そうにしてるのにただ黙って見ているのは、納得できない…!)
「…分かりました。」
いろいろと考えていると、セラの声がした。意識を戻してみると、こちらをじっと見つめている。

何かに耐えるように。
何かにあらがうように。

「お願いします。」
青い瞳は、どこまでも深く、澄んでいて。
その瞳に、自分の姿が映っていた。
一生懸命話してくれるのなら、自分も真面目に聞く。
姿勢を正し、見つめ返すと、セラの身の上話が始まった。

マサチューセッツでの暮らしのこと。
母親とセラ自身の関係。
突然起きた事件。
デュアルという少年のこと。
母親の本音と死。
シティを出て軍に追われるようになってから。

10年余りの間の出来事。自分が『生きて』きたよりもずっと長い時間だとは分かる。
それなのに。
この小さな少女の苦しみ、悲しみ、憤りは、普通の人よりも強く、深かった。
I−ブレインが使えなくたって、それぐらいのことはわかる。
分かるから…何もいえなくなってしまった。
言葉は無力で、心を傷つけることさえもできる。
フィアは、何もできない自分が悔しくて、ただ両の手を強く握り締めていた。
「フィアさん……。」
と、セラが声をかけてくる。
すがるような瞳。
「わたし…間違ってるんでしょうか…?」
「え…?」
一瞬、何を言われたか分からなかった。が、少しずつ、意味が浸透してくるにつれ、熱い衝動がこみ上げてくるのを感じる。
「そんなこと、ないです!」
力いっぱい言い放ち、驚きをあらわにするセラを見て、慌てて口をふさぐ。
「絶対…そんなこと、ないです。」



【続く】



<作者様コメント>
Fantatic Dream(不思議な夢?)2です。
当初、これくらいの長さで終わるつもり、
だったんですが、なんか…長引いちゃいました(汗
一応フィアサイドで2つは書きました。
続きは、セラサイドでやる…つもりです。
私のつもりは実現されない事が多いので、
全然違っても許してやってください。
これを読んでくださった方、
前回に輪をかけてメチャクチャで、すいませんです(涙

<作者様サイト>
『なし』

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