■■こみこみ様■■

Fantatic Dream 〜sweet angel&Little twinkle〜4



ふと、目が覚める。
泣いた後のような感覚と、なぜか満ち足りた気分が、次第に意識を浮上させてゆく。
「ん……。」
脳内時計が、午前6時16分を告げた。
上半身を起こし、あくびを1つ。伸びをしながら息をはく。
と、ふいに、マリアの笑顔が脳裏を掠めた。
「!」
セラは、一瞬動きを止めた。
「夢の…断片?」
声に出して、つぶやく。
どんな夢を見たのか、すぐには思い出せない。
目をつむり、もう1度マリアの顔を思い浮かべてみる。
「あっ…!」
今度は、一気に思い出した。
「…フィアさん…。」
柔らかに光を跳ね返す金髪と、深いエメラルドグリーンの瞳、優しい笑顔が、はっきりと見えた気がした。
そっと目元の涙を拭うと、顔をあげる。
手早く着がえて、部屋を出る。朝食の支度をするために、エプロンの用意をしつつ、キッチンに向かう。
ふと、外の見える小さな窓の前で立ち止まった。
空は、相変わらずの鉛色。
「…頑張りますね。」
小さくつぶやいて、足早に立ち去る。

「セラ、おはよう。」
しばらくして、食事の用意がすんだ頃。
ディーが、にっこりと笑いながらセラに言い、席につく。
「おはようございます、ディーくん。」
口元をほころばせ、セラも笑みを返した。



目をあけると、見慣れた天井があった。
意識がはっきりしないままに、フィアはベッドのうえで寝返りを打つ。
…唐突に夢での出来事を思い出し、覚醒する。
「あ…れ?んっと…この人は…。」
金髪をポニーテールにした、蒼い瞳の少女。
「えと…あ、セラさん!」
小声でつぶやく。
(あの後、どうなったのかな。)
ベッドを整え、着がえる。
脳内時計で確かめると、今は6時34分。
弥生が下で朝食を作っている音が、I-ブレインを通して聞こえる。
髪を梳きながら、セラの泣き顔を思い出した。
「大丈夫…でしょうか…?」
知らず声が出ていた。
なんとなく、カーテンをひいた空を見た。
いつもと同じ、鉛色。それに雪の白が混じる。
人々が見あげることをやめてしまった、暗い空。
それでも、あの雲の向こうには、澄んだ“本物“の青い空がある。
そう思ったら、自然と笑みがこぼれる。
部屋を出て、キッチンへ向かう。
「あら、フィア。おはよう。」
気付いた弥生が、振替って優しく微笑みかける。
「おはようございます!」
花が開くように、ぱっと笑顔になったフィアが言った。




どんな小さな想いでも 1つになれば強くなる

どんな弱い人だって 大切なモノのために頑張れる

祈りは 願いは ただ1つ

すべての人が 青空のもと笑えるように

今の自分にできること きっととても少ない

――それでも――

私は夢を 信じて生きたい

わたしは現在いまを 守って生きたい

この1つの世界で……




【E N D】



<作者様コメント>
ようやく完結しました!『Fantatic Dream』
…ようやくと言っても、連載期間は短いですが…。
2話にするつもりだったのに、いつの間にやら4話にまで…。
これも一重に、文才のない作者が悪い!
あ、でも石を投げるのはやめてください(滝汗
次はいつになるか分かりませんが、
区切り良いのでとりあえずお礼をし、失礼します。

読んでくださって、ありがとうございました!

でわ、さようなら〜♪
(反省しろっ!明るくしめるなっ!)

<作者様サイト>
『なし』

◆とじる◆