展示室

■■草薙様■■

Infaight MeisterⅠ
～knight's short story～

（くっ、何なんだ。こいつは！）
「黒衣の騎士」の異名で知られる大戦の英雄、黒沢祐一は今の状況に焦っていた。
（攻撃感知。回避不能、防御可能）
辛うじて敵から放たれた突きを騎士剣『紅蓮』で受け止める。
（相手の速度は圧倒的に遅い。しかし何故？）
相手の動きは祐一の目にはゆっくりとした動きにしか見えない。
現在、祐一は知覚速度を120倍で定義している。
その中での相手の動きは非常に遅い。
今、相手は突き伸ばした腕を引いてる。
祐一はすかさず横薙ぎに剣を振るう。
しかし、相手はその攻撃を見越していたかの様
に上半身を後ろに倒しこちらの一撃を紙一重で避ける。
その不安定な体勢の状態の相手に剣を振り上げ打ち下ろす。
あの体勢ならば普通はこの一撃で勝負が決まる。
だが今度は振り下ろされるのを知っていたかのように相手の刀が祐一の剣を受け流す。
スローモーションで動く相手に全くかすりもしない。
いくら祐一が大戦を生き抜いた猛者だとはいえ、さすがに焦りが出てくる。
落ち着きを取り戻すために祐一は相手と間合いを離すために大きく後ろに跳んだ。
「その様子だとだいぶ焦ってんねぇ。
あれだろ、スローモーションの相手に一太刀も入らないから苛ついてんだろ？」
まるで頭の中を読まれたような気分だった。
「あんたはさ、確かに強いよ。それは認める。魔法士としても人間としても。
精神的にも肉体的にも。だけれど、戦う『技術』が無いね。
それじゃオレと何百回戦っても勝てないぜ？」
（技術、だと？）
自分は雪と訓練を繰り返して技術を学び実戦でその技術を磨いてきた。
しかしこの男は自分に技術が無い、と断定した。
「今日のところは何も無かったことにしてやるから、二度と来ないでくれるか？
オレも無益な殺生は嫌なんだ」
だが祐一は引くわけにはいかなかった。
今回の依頼は『マザーコアとなる予定の魔法士の奪取』だ。
依頼人は『賢人会議』。
この依頼は今は亡きマリアの子セラのためのものなのだ。
まだ『賢人会議』のやり方には完全に賛成はできないが
セラやディーのため、祐一は剣を振るっていた。
「ああ、引く気無し？だったらこっちも手抜くの止めるぜ？
本当にいいのかい？」
祐一は答える代わりに無言で切りかかる。

（雪さんの恋人じゃあ切れねえよなぁ。）
彼――レギア＝トレヴァース――は迷っていた。
その間にも祐一は迫ってくる。
（しょうがねえな。こういう中途半端は嫌いだが……）
彼はI-ブレインを起動・・した。
（I-ブレイン起動。「身体制御」発動。運動能力30倍、知覚速度65倍で定義）
レギアは騎士の能力から見ればはっきり言って普通だ。
むしろ、自己領域が展開できないので弱い。
だが、レギアは現実に世界最高クラスの魔法士、黒沢祐一の攻撃をすべて完璧に避けた。
I-ブレイン無しで。
そう、彼は騎士としての能力の普通さを補って有り余る戦闘技術を身につけていた。
彼を知る人は彼を『インファイト＝マイスター』と呼ぶ。
「『インファイト＝マイスター』レギア＝トレヴァース、参るぜ！」
彼は刀を鞘に納めた。
祐一は恐ろしい速さで近づいてくる。
そして二人が交差した……
甲高い金属音のみが世界に響きわたる。
「戦いとは刹那が勝負、だぜ？」
「うっ………」
祐一は腹部を押さえ倒れた。
「ま、お約束だから言っておくが」
レギアは一呼吸置いて言った。
「安心しろ、峰打ちだ」
勝負はレギアの圧勝だった。

あとがき
レギア（以下レ）：てな訳であとがきだぜ！
草薙（以下草）：テンション高いな……
レ：あったりめえよ！ついにデビューだぜ？
草：まあね。
レ：ところでよぉ質問なんだが。
草：何さ。手短にしてね。
レ：何でこんなに短いんだよ！！
草：えっとね、この作品では戦闘シーンを大きくクローズアップしたくて。
レ：理由になってねえよ！
草：いやあ、こっちは短く多くをモットーに……
レ：ふざけんな！！意味分からねえ！
草：いや、長編はジメジメ、ダラダラしてるからこっちはカラッと短くで攻めてみようなんて……
レ：ああ、ウザッてぇ。くたばれ！秘剣『飛燕剣』！！
草：グハッ…………
死して……屍拾うものな……し
レ：あの世で後悔しやがれ。
草：読んで下さった皆さん……ありがとう……ござい……ました。←ドサッ
レ：また次回も読んでくれよ？

＜作者様コメント＞
今回は短めの物を書いてみました。
かなり、というか物凄く短くなりました。
長編は……書いている間がなさ過ぎる！！
あー受験って嫌です。
最後に長編の方もつたない文章ですがよろしくお願いします。

＜作者様サイト＞

◆とじる◆