「絶対者」


















轟音と共に一瞬前、自分の体が占めていた空間を無数の弾丸が突き抜けてゆく。
その光景を視界の端に入れながら返す刀で虚空を一閃。
自分の右手が通過した場所の熱を奪い去り、刹那で氷結させる。

(「氷盾」起動)

I−ブレインに命令を送り、世界を変質させる。たちまち軌跡が青白く変色し、氷の盾と化した。
だが、これは防御のために作り出したものではない。
絶え間なく飛来する攻撃の一群を照準、それを包むように楕円を描いた形状をとらせる。

着弾。

しかし衝撃は一瞬だ。
滑らかに磨きぬかれ、歪曲した氷の盾は直線運動をより効率的に円運動へと変換、飛来した勢いそのままに投擲者へと返ってゆく。
最後の一弾が返ってゆくのを確認し、「氷盾」を解除。それと同時に祐一とディーが横を駆け抜け刃を振りかざす。
先ずは自分が返した弾丸が着弾・・・・・・

「――はンッ!」

・・・しなかった。
ウィズダムのすぐ手前までは行ったものの、そこで再び方向を転換、またもやこちらへ向かってくる。
「ち・・・っ!」
舌打ちを伴って祐一の体躯が横っ飛びに跳躍、そこに1拍遅れて弾丸の一群が着弾した。
砂煙と爆音がきな臭いハーモニーを奏でる。
だが、これで敵の能力は見えた。
この”世界”に定義づけした情報とは、
「射程内の物理係数の”運動”を操る能力・・・?」
視界の隅で乱舞した赤色が土より生成された弾丸を片っ端から叩き落しているのが見える。
「御名答だ。この世界の名は『揺蕩う世界』ウェイバー・フロゥ。射程内におけるあらゆる物理的な物質の”運動”を司ることのできる能力だ。」
唯”速度”にしか影響を与えれない『マルドゥク』とはレベルの違う運動制御。
これが・・・・・・”世界”。
「まぁ一応制約っつーもんもあってな。あくまでも俺の世界は”空間”に情報を定義づけるわけであって、
その中にいる人間や動物なんかに直接干渉はできねぇんだよ。」
直接触れりゃ別だがな、と付け加え、ウィズダムは言う。
そして、掌を天へと突き上げた。
「けどよ、物質の運動係数を司るってことはな・・・・・・こーゆーこともできるんだぜっ!」
叫ぶ。
その声が響く。
空間へと、響き渡ってゆく。
それは、”祈り”
それは、”願い”
I−ブレインを通して発せられる命令が、世界に祈り、世界に願い、その形相を変容させていくのだ。

(大規模情報制御を感知)

無機質な、しかしそれゆえに緊迫のある警告が脳内に反響した。
・・・・・・そのとき。


「――っぐ!?」


苦鳴と共にディーの体躯が鮮血を撒き散らして大きく傾いだ。
「――え!?」
「――何だと!?」
「――ディーくんっ!」
「――・・・・・・!」
皆がいっせいに振り返る。
その顔を彩るのは全て動揺と驚愕。
「今・・・・・・何が?」
口をつく言葉に粘り気を感じる。
情報制御を感知してからほんの数瞬しか経っていないのに・・・・・・いや、
「・・・・・・不可視の、攻撃・・・?」
情報制御からディーがやられるまで、自分らは一瞬たりともウィズダムから目を離したりはしていない。
攻撃を飛ばしたのかどうかは、絶対に分かるはずだ。
「ぐ・・・・・・」
鮮血したたる左腕を押さえ、ディーが立ち上がった。
既に『陰』は取り落とし、肩から下は全て朱に染まっている。
そう、

”全て均等に”

「さぁて、これが『揺蕩う世界』の隠し技だ。どういうもんか解かねぇと――死ぬぜ?」
くかかか、と笑い、ウィズダムが再び天を指差し――
「・・・・・・今度はどうかな!?」
――振り下ろした。
「――くっ!」
反射的に横へ飛ぶ。
轟、と先ほどまで自分が居た場所を”何か”が突き抜けていった。

(「短期未来予測デーモン」常駐。)

二回の攻撃で、分かったことは二つ。
一つは、物理的に何かを投擲か射出していること。
二つ、それはこの”世界”の定義から考えて、”何か”を加速したものであること。
それらを踏まえ、ラプラスを展開。
物理的なものであるならば、ニュートン力学的に未来を予測するラプラスになら予測できるはずだ。
だが、

(情報制御を感知、防御不能・回避可能)
再び流れる無機質な声。
間髪いれず今度はウィズダムを挟んで対照に体を投げ出す。
ばっ、と草葉が崩れ落ちる・・・・・
今の・・・・・・?
違和感が脳を過ぎる。
一瞬の閃き、それが先ほどの現象を何らかの差異としてI−ブレインを駆け巡った。
と、同時に本当に閃光が空を貫く。
D3の一撃だ。
回避させぬようばらまくように撃たれたものではない、一点集中の”矛”の攻撃。
正四面体が寄り集まって幾何的な図形をなし、そこから極太の光芒が射出された。
が、
「無駄無駄無駄無駄・・・ってか。」
『揺蕩う世界』の定義づけによって干渉された水素分子と酸素分子が結合し、水となった防壁がウィズダムの前へ屹立する。
そこへ着弾。
衝撃もなく、融和が起きる。
D3の荷電粒子砲は水の中に着水する同時に乱反射して拡散、幾分かの水をプラズマ化させて消え去った。
濛々と水蒸気が立ち込める。
「・・・・・・錬。」
一瞬、自分らが相手の視界から消え去る、その瞬間に祐一が自分を呼ぶ。
目線で用件はわかる。
「フィア。」
それを受け、自分も後ろの天使の少女へと目配せする。
「わかってます。」
流麗な声と共に翼の大きさが増す。
「お?・・・・・・何を、みせてくれるってんだ?」
それを目に留めたウィズダムが水蒸気越しに、問うてきた。
無論、答える義理も義務も無い。
「・・・・・行くぞ!」
祐一の号令一喝。錬は彼と並んで走り出した。

(身体能力制御デーモン常駐)

自分と祐一の目線、その直線上にはウィズダムがいる。
「・・・・・・突貫か?――それじゃぁ無駄足だなぁ!!」

(情報制御を感知)


――来た!


ディーの腕を”まんべんなく”痛めつけ、草葉を崩壊させた謎の攻撃。
僕の予感が正しければ、あれは・・・・・・
「錬さん!」
天使の羽が光を振るう。
敵の”世界”によって情報定義は取り込めず、内部の形相を変容させることは適わないが、ある一つに対して同調し、それを操ることはできる。
今までフィアは、任意のものだけに同調できるよう特殊なデバイスの準備をしていたのだ。
制御対象は――重力。
ウィズダムの攻撃と同じく、不可視の波動が錬と祐一の間を通り抜けていった。
そして、それが”なにか”と激しくぶつかり合う。
「――散らせッ!」

(「ファインマン」展開。情報解体発動)

その”なにか”がフィアの放った重力波に絡められ動きを鈍らせたその一瞬、錬は高位のプログラムを発現させる。
僕の予想が正しければ・・・制御するのはたやすいはず!
普段の錬ならば一度「マクスウェル」を展開し、周囲の空間の分子の総数を減らしてからしか使えない大技。
だがしかし、錬はそれを行った。
そして、それは成功する。
空間内の原子によって論理回路が描かれ、”後から来るもの”を一瞬にして情報解体した。
「あぁ?」
ウィズダムが眉を顰める。
それは、魔法士同士の戦闘ではあってはならない致命的な隙。
その一瞬で『自己領域』を解除した祐一とディーが彼の背後に踊り出る。
「せ・・・・・・っ!」
片方は鋭い呼気、もう片方は無言の意思を騎士剣に込めて、三本の銀光が閃いた。
遠慮も容赦も一切ない、全力の斬撃だ。
だが、
「――っそったれがァっ!」
怒号と共にそのうちの二閃が飛来した不可視の力により弾かれる。
しかし、もう一本の刃は役割を果たした。
ディーの右手の騎士剣、『陽』がウィズダムの右肩を袈裟切りに大きく切り裂く。
皮を貫き、肉に食い込み、そして骨を断とうとしたとき、唐突にそれは止まった。
『揺蕩う世界』の情報定義により、ディーの騎士剣にかかっていた「運動」を消去したのだ。
「いってぇなこの、ド畜生がッ!!」
腕を振る動きと共にディーの体躯が宙に投げ出される。が、そこは熟練の騎士。そんなことなどものともせず、
それに逆らわず空中で一回転ひねり、器用に騎士剣を構えたままで着地した。
「って・・・・・・まさかよぉ、・・・もう気づいちまったのか?」
そう浅くも深くも無い傷を抑え、ウィズダムが半目でこちらを見てくる。
その眼光は、厳しい。
真っ向から視線を受け止め、錬は言った。

「さっきの、ディーさんの腕を貫いた攻撃は、『分子大の弾丸』。・・・違う?」

気づいたのは、あの草のおかげだ。
同じく不可視の攻撃に貫かれたであろうあの植物は、”崩壊した”。
これとディーが食らった攻撃から考えられることは、先ず第一にあの攻撃の正体が”情報解体”であること。
何かを”崩壊”させるのであれば一番ポピュラーかつオーソドックスのパターンだ。
だが、今ウィズダムが”定義づけ”しているこの世界は『運動』を司る力。情報解体に繋がる力ではない。
棄却だ。
ならば他はどうなる?
物体を”破壊”させるならば大質量をそれ相応の速度でぶつけてやればいい。
だが、崩壊となると?
物体を文字通り崩壊させるには先ず原子・もしくは分子の結合を解くことになる。
もしくはそれらの集合体の結合を解く、でもいい。
結合を解く・・・・・・・すなわちそれを”運動”によってなすには、”結合部分”を破壊すればいいわけだ。
金属ならば自由電子が動き回るその隙間を、物体ならばファンデルワールスの間、もしくは極性の裂け目を狙えばいい。

「酸素・水素・窒素原子らを情報強化して、結合の間に打ち込ませたんだね?」




――『空気に激突して事故を起こす車はいない』




それを逆手にとっての発想だ。
だが、そこまで威力は高くない。
いくら情報強化しようと所詮は分子原子。一つ一つの傷は小さくならざるを得ない。
毛細管から出血こそすれ、連発して食らわない限り致命傷にはほど遠い。
そして攻撃はきちんと分子原子を”整列して”放たれてくる。
いちいちマクスウェルで自分の演算でも追いつくように減らさずとも、最初の形相は分かっているも同然だ。
だからさきほど錬は「マクスウェル」を介さず「ファインマン」を起動できたのである。
「ったく・・・もうちっとは気づかねぇと思ったんだがなァ・・・・・・」
けっ、と吐き捨て、ウィズダムは毒づく。
錬達は無言で隙を伺う。
と、
「んじゃぁ・・・・・・次行こか。」
ひょい、と何の前置きも無くウィズダムが宣言した。
”次”
その単語が示す意味は・・・・・・
「次の”世界”か!」
祐一の叫びにウィズダムが口を三日月に歪める。


変質が、始まった。



(大規模情報制御を感知)

一瞬にしてつい先ほどまでこの場を占めていた”なにか”が決定的に消滅する。
続いてそれが新しいものに塗りなおされてゆく。
透明な水に落とされた一滴の墨汁のように”それ”は元々あったものを飲み込み、侵食し、取り込む。
貪欲なまでにこの場の全てと同化し、食らう。

「おっ待ちっかねぇ〜。『七聖界セブンス・ヘヴン』第二の世界、”蠢く世界ディストート・レギオン”。」

変化が収束する。
それは世界の一点に集まって”世界”を象るもの。

「この”世界”はなっかなかに凶悪だぜィ?」

そして、変化は終息する。
世界の基盤が、性質が、定義が根本から書き換えられ、彼の望むままの空間と化す。

「とーりあえず、行っとくぜ。とくと見さらせ!」



その言葉を皮切りに、”地面が割れた。”



「っなぁ!?」

否、割れたのではない。
がくん、と断層を起こすように地面が”ずれた”のだ。
これは、・・・この鋭利な断面は・・・・・

「大地を・・・・・・”斬った”!?」

断裂に見える断面はどを見ても滑らかな表面を醸している。
毛筋一つのズレも見られない直線で切り裂かれた証拠だ。

「これぁ簡単な問題だろう?この第二の世界、『蠢く世界』の能力は、なんだろな?」

下を向く。
そこにあるのは滑らかに切り取られた大地の一部。
直線の断面、塵一つ零れ落ちていない砂粒。
・・・・・・まるで、元のままのように・・・?
そうか・・・・・・この、能力とは・・・・・・

「・・・・・・”空間”を操る力か!」

そう考えれば辻褄が合う。
隆起が毛ほども無い断面は、その部分を空間ごとずらした溜にできたものだ。
切り裂かれたように見えたのは、空間の”断裂”をゆっくりと押し広げていったために見えたのだろう。
「・・・・・・厄介、だね。」
「凶悪な能力しか持ってないのか・・・・・・それも困りモノだな。」
この能力はさらにタチが悪い。
空間に働きかける力、ということは、それすなわち、
”物理的な強度や特性に左右されない”
ということだ。
”空間”とは、この世界を構成する要素のうちで上位のものとなっている。




・・・空間に影響を与えるためには、幾つかの条件が必要とされる。
それらは”重力”であったり、巨大な”質量”であったりする。
大規模な質量を持つ物体が周囲の空間を捻じ曲げ、歪ませている事は20世紀後半に既に確認されている事実だ。
例えば、太陽の周りは空間が捻じ曲がっている、など。
だが、それらはあくまで”歪んでいる”だけに過ぎない。
いくら圧倒的な質量を持とうと、それはゴムのように空間を”たわませる”だけなのだ。
このように”切ったり付けたり”することは不可能だ。
むしろそんなことをすれば周りの空間全ての位相が文字通りずれ、崩壊を起こしかねない。
しかしそういう現象が起こるのはそういう物理法則を有している”この世界”だけだ。
ここは、狂人、ウィズダムの世界。
どんな理不尽なことであろうと、”そういうものだから”で押し通す唯一無二の絶対空間。





「・・・・・・理不尽にも、ほどほどにしてほしいですが。」
I−ブレインを二つ持つという錬から見ればこちらも”理不尽”なディーが頭を振って吐き捨てる。
努めて軽い口調で喋っているものの、その顔色からは
”どうしようか”
という八方塞の意思がありありとわかる。
・・・・・・というか本当にどうしよう。
ウィズダムがどこまで空間制御を”切ったり貼ったり”できるのかはわからないが、
少なくとも自分の『空間曲率制御』の数十倍の能力は保持していると考えた方が良い。
ということは、だ。
もし相手が自分の周りの空間を”切って”しまうことができる場合、こちらからの攻撃は一切合財が通用しなくなってしまう。
無論、空間の歪みに対して真っ向から情報解体で勝負するという手段はあるが、演算能力の差でそれが負けるとはわかりきっている。
ならば、どうするか。
ちら、と祐一・ディーの接近戦組と目を合わせる。
鉄壁の防御を誇る相手に対抗するには、それを上回る力をぶつけてやればいい。
だが、今回の場合はそれが使えない。
なら、

「使う暇も与えない、”速さ”で勝負!」

今の『世界』は空間に干渉する定義。
先ほどの『揺蕩う世界』のように運動に干渉するものではない。
ならば今のウィズダムは身体能力制御を捕らえられる知覚能力は有していないことに成る。
突くとすれば、そこだ。
いくらなんでも空間をずっと”切り離した”状態のまま維持できるわけではないだろう。
一瞬の隙をつけばまだ勝機はある。

(身体能力制御デーモン・常駐。)

「準備ァいいか?んなら始めようぜ。」
言葉と共にウィズダムの姿が掻き消えた。


(情報制御を感知)


背後に危険信号。

――空間転移!

とっさの判断で体を斜め前方へと投げ出し、そのまま全力で遠ざかる。
そして振り向きざまにサバイバルナイフを投擲する。
「はっずれー。」
20倍の加速を持って放たれたそれはあっさりと避けられた。
そして再び姿が掻き消える。
「っ・・・!こんな・・・!」
次いでディーの目の前へと出現したウィズダムに二本の銀閃が放たれるが、それは空間の歪みに絡めとられて失速、難なく躱された。
「おぉ・・・っとっとぉ。」
さらにその隙を突いて背後に躍り出た祐一の一撃ですら、転移することによって躱してみせる。
「――ブッた切れろッ!」
そのまま祐一の頭上に出現したウィズダムは先ほど地面を裂いたであろう、『空間断裂』を解き放つ。
物理特性に関係なく情報強化されていないあらゆる物体を切断する『空間断裂』は、有用な武器として大戦のころにごく一部で試験用開発された。
だが、それは大規模な機器を用いての話だ。おまけにそれを敵に当てるにはバカでかいその機器の内側へ敵を呼び寄せなければならず、
また実際に有用な被害を及ぼすまでの威力を放つには、魔法士二、三人のI−ブレインをもってようやく、と、
コストも人材も手間も全てがデメリットばかりで、結局タダ飯食らい扱いで消えていった武器だ。
実質的には文字通りあらゆるものを切り裂く為、かなりの期待がもたれたが前述の通りそれは夢に終わった。
しかし、今ここにその夢を現実へと顕現させた人外が、一人。
見えないその断裂を『自己領域』によって祐一は回避する。
一瞬前、彼の足が踏みしめていた大地が無音で断たれた。
続いて、

「――『揺蕩う世界ウェイバー・フロゥ』!!」

「っな!?」
唐突な世界変換。
一瞬にして世界がその形相を変える。
マズ・・・・・・い!
祐一も、錬も、ディーも文字通りの『接近戦』を仕掛けていたためにウィズダムとの間合いが近すぎる。
この距離では、躱せない!
あの不可視の射撃・『業』をこの場で放たれたら、『自己領域』発動中の祐一はともかく錬とディーは躱す術を持たない。
・・・・・・なら!
瞬時の判断で錬は地を蹴り、さらなる加速を遂げる。
タイミングは微妙、だが、撃たれる前に討つ!
体の動きは肩へと繋がり、肩の動きは腕へ繋がり、腕の動きは拳へと連なる。
力を得たサバイバルナイフが今まさに手を振り上げようとするウィズダムに肉薄する。
いける!
この距離ならば相手が『業』を解き放つ前に錬の刃は致命を果たす。
渾身の力で錬はナイフを押し出し――
「――残念賞〜。」
”何も撃たずにかざされたウィズダムの掌に掴み取られた”
「・・・・・・!?」
「馬ァ鹿、軽はずみだヨ。・・・・そしてこれは応用問題だぜ?」
瞬間、
錬の持っていたサバイバルナイフは粉々に砕け散った。
な・・・・・・!?
わけの分からぬその光景に錬は一瞬――あってはいけないコンマの隙――体を硬直させる。
「いってらー。」

――次いで翻ったナイフの破片が狙い過たず、錬の体を貫いた。

















 オリジナル能力解説(微妙に以後へのネタバレあり)

 七聖界セブンス・ヘヴン

使用者・「ベルセルク・MC・ウィズダム」


<解説>

「世界面変換特化型魔法士」・通称『御使い』であるウィズダムの能力。ちなみに能力名は自称である。
具体的には、圧倒的な演算速度によってこの世界に刻まれている”法則”を改変し、一部の空間を”自分の世界”に変える能力。
その『世界』の広さはまちまちで、改変する定義の大きさと反比例する。
作り上げられた『世界』は圧倒的な情報防御を誇り、基本的に破壊は不可能である。
が、例外をつけるとすれば『虚無の領域』でやっと、というところだろう。
一つの『世界』には一つの定義が付与・改変でき、能力名の通りウィズダムは計七つの『世界』を持つ。
ちなみに一度に二つ以上の定義を改変することは演算速度的にも、またそれぞれが排反となる可能性もあるため不可能。
また、あくまでも法則を改変するわけだから、内部にいる人間などに直接的な変化を与えることはできない。


第一の世界・『揺蕩う世界ウェイバー・フロゥ

<解説>

射程距離内の物質ないし非物質の物理的な運動係数を制御する能力。
この場合の『世界』は半径45〜50m程度。比較的軽い定義の改変なのでかなりデカイ。
ただしその使い勝手の良さに反して応用性はかなり高い。
分子や原子一つ一つに指向性を与え、”分子大の弾丸”とする『業』という視認不可能の攻撃方法を持つ。
また、この『世界』の切り札として、電子の動きを停止させるという反則的な能力も存在する。
物質とは共有結合・イオン結合・水素結合・金属結合・配位結合など様々な結合方法を持つが、
分子結合やイオン結合のようにファンデルワールス力やクーロン力で結合する以外は、そのどれも”電子によって結合する”という共通項がある。
そしてその結合部分の電子の運動を止めるということは、その物質が物質として成り立たなくなることを表す。
金属は自由電子を止められて崩壊し、ダイヤモンドでさえバラバラの炭素となって砕け散る。
ある意味では『情報解体』に近い能力。
直接その物質に触れなければ発動はできない。


第二の世界・『蠢く世界ディストート・レギオン

<解説>

この世界の上位定義である『空間』を制御する能力。
当然のことながら射程距離は半径20〜25mと第一の世界に比べて狭くなっている。
擬似ではない、正真正銘本物の『空間転移』や、自分の周りの空間をズラすことによって攻撃を回避したりとバリエーションはかなり豊富。
空間を司る能力故に、『世界』として確立させなくとも縮小開放で空間転移くらいは普通に使える。
ちなみに祐一たちを一瞬にしてここまで移動させたりフィアを連れてきたりしたのもこの力。
攻撃方法としては、物理特性に左右されなく、情報強化していないあらゆるものを切り裂く『空間断裂』や、
空間に波紋を奔らせてたわませ、元に戻るときの衝撃をぶつける『空間爆砕』などを使用。




・・・残りの『世界』は本編に出てき次第紹介していきます。



こめんと

あー・・・・・・なんてぇか、”やっちゃった”って感じの章です。
一体どこでいらん光線浴びて突然変異起こしたんだコノヤロウとまで言える章ですねぇ・・・
よーわからん能力は出てくるわウィズダム君反則的な強さだわ
ディーが何かしょっちゅうダメージ食らう損な役回りになってたりと、
どことなく人生間違えた浪人みたいな気分です。
文才乏しいので読んでる人にゃ何言ってるのか分かんないと思うので
一番後ろに解説乗っけたりしてみましたが、おっそろしく適当っすよこれ。
百害あって一利なしどころか何かが致命的に破綻してますから。
そんな中少しだけHTMLの使い方を知った今日この頃。
皆様方の素晴らしい作品の中で一つだけアングラ入った文やらよくわからん表現で無茶苦茶なものですが
先はそう長くありません、最後までお付き合い願います。(以前に読んでくれてる人がいるかが少々怖かったり

れくいえむ