第二章
「再会に思い出を捧げて」
――HELLO! HELLO!――
「フィアちゃん!錬!・・・・・・うわぁ、久しぶり〜!」
いつもの通り背中に翼を出すために穴を開けた服を纏った『龍使い』の少女が錬とフィアの肩を抱いた。
「はい!お久しぶりです!」
「半年ぶり・・・かな?元気だった?」
「うんっ、もっちろん!」
答えるファンメイの声は半年の年月を感じさせないほど喜びと友愛に満ち溢れている。
半年振りに見るファンメイはちっとも変わっておらず、その笑みも、その動きも、全ては前見た時と同じだった。
生きることが楽しくてしょうがないようにくるくると動き回る表情。
悲しい過去を感じさせないこの少女の笑みは、フィアとはまた違った暖かさを持っている。
「もう動いて大丈夫なんですか?」
ファンメイの手足を心配そうに見てフィアが聞いた。
それに対してファンメイは親指をぐっ!と突き出し、
「ぱーふぇくと!」
それはそれは嬉しそうに答えた。
『龍使い』を蝕む致命的な欠陥――――『黒の水』
それは使用するにつれて微細なバグを蓄積していき、そして最後には使役者の体を乗っ取って暴走する、という欠陥製品。
人間を人間たらしめる機関の9割以上を紛い物で構成された魔法士――――龍使い。
その最後の一人であるファンメイは、以前の事件・『世界樹』によって黒の水に体を浸食されている。
最早自分の意思で動かすことすら適わなくなったその部位は、『天使の翼』をもってしても治癒はできなかった。
――――しかし、
「錬とフィアちゃんが帰ってからわたし全然外出させてもらえなかったんだよー?」
むぅ、とふくれるその少女に、そんな面影などはなかった。
常に元気ハツラツ、天真爛漫を地で行くファンメイにとって治療の名目であっても外出禁止というのは耐え難い苦痛であったらしい。
「いえ・・・・・・大人しく寝てましょうよ」
ぽつりとフィアが正論を呟く。
どうせファンメイのことだ。
毎日毎日こっそりと抜け出してリチャードたちの頭を抱えさせたのだろう。
もぬけの殻のベッドを発見して呆然とする白衣の”先生”を思い浮かべ、錬はくすりと笑った。
「あははっ、・・・・・・それにしても」
太陽のように笑い、ファンメイはこちらを見渡し、
「フィアちゃん背、伸びた?」
「え? そ、そうですか?」
「うんっ、やっぱり伸びてる!」
「わわわ・・・っ」
ぎゅっとフィアを抱きしめ、目測で差を測る。
錬から見てもフィアは背が伸びている。
前半年より伸び率は落ちているものの、その伸び方は健康そのものだ。
と、
「・・・・・・む?」
唐突にファンメイが止まった。
「?」
「ファンメイさん?」
二人して小首を傾げる。
しかしファンメイはむむーっと眉間に皺を寄せ、何かを比べるようにフィアと自分の体を交互に見ている。
数秒後。
「・・・・・・おまけに出るトコ出てるし」
「っ!?」
「ぶっ!」
いきなりの爆弾投下。
フィアの顔が一瞬で真っ赤に紅潮し、錬は思わず吹き出した。
不意打ちがすでに一撃必殺。
「ファ、ファンメイさん。何言って・・・・・・」
「錬には勿体無いよねー。」
そしてトドメの一撃。
「「――――ファンメイ」さん!!」
声を揃えて錬とフィアは叫んだ。
共に顔色は真っ赤だ。
「へへー、冗談冗談。」
言葉とは裏腹にその顔はふやけている。
・・・・・・・・・はぁ。
思わず溜息。
と、
「・・・・・・なに?」
ファンメイが今度はこっちを見ている。
理由もなく一歩後づさってみたり。
再び数秒、こちらを眺めていたファンメイだが、急ににやり、と笑い、
「錬は全然変わんないねー。」
「!!」
――――クリティカルヒット。
その言葉は健全で純真な少年の硝子の心を一発で粉々に打ち砕いた。
「あんまり伸びてないんじゃない?」
追い討ち攻撃、倍率アップ。
気分は最強騎士に追い詰められたときよりも尚ダウナー。
故に心は自閉を選択。
「そろそろフィアちゃんに追い抜かれるよー?」
スーパーコンボ。
完全に硝子の心は粒子と散った。
I−ブレインの中に99Hit great!の文字が浮かぶ。
「・・・・・・と? 錬?」
聞こえない聞こえない聞こえない。
視線を逸らして気づかぬ振りを。
・・・・・・それでも、事実には違いない。
「・・・・・・・・・はぁ」
錬は思わず天を仰いだ。
と、救いの手は意外なところから現れた。
「おーい・・・・・・」
「ん?」
「あれ?」
「?」
部屋の暗がり、奥のほうから声が聞こえてきた。
錬がそっちにマクスウェルの炎を向け、照らし出されたのは、真っ赤な頭髪に一本だけの青髪。
機能的なジャケットに身を包んだその姿は、
「ヘイズさん!」
・・・・・・ヴァーミリオン・CD・ヘイズ。
現在のファンメイの保護者でもあり、錬たちも多大に世話になった頼れる兄貴分のような存在だ。
だがしかし、なぜか彼は暗がりから動かない。
「・・・・・・そろそろ、解放してくれると嬉しいんだが」
その言葉でようやく気づいた。
「・・・・・・・あ」
『天使の翼』、解除するのを忘れていた。
*
「ごめんごめん、ヘイズのことかんっぺきに忘れてた。」
「・・・・・・そこまで簡単に言われると逆を悲しくなるな」
全く悪びれずににこにこと笑う少女と、その前に肩を落とす長身の青年。
まるで妹に怒られた兄、子供に叱られる親のように思え、錬とフィアは悪いと知りながら笑った。
案の定、ぎろりと睨まれるがあえて無視。
「つぁー、肩こったじゃねぇか・・・・・・」
肩をとんとんと叩くその姿は何故かひどく絵になっていたりする。
・・・・・・まぁ、ファンメイと一緒にいると苦労が多いということであろう。
と、
「ところで、お前らは何でこんなへんぴなトコに来てるんだ?」
腰も回しながら赤髪の空賊が聞く。
「何で、ってこんなところに来るなら依頼以外ないでしょ?」
「ファンメイさんたちこそ、何でここを来たんですか?」
質問に質問で返すのはマナー違反、と知りながらも、興味はこちらに引かれる。
自分とフィアがここに来た理由は仕事一点張り。
依頼主が別の何でも屋を雇うわけなどはありえない。
ならばこの二人、なぜここに?
思わず脳裏に先の事件の発端が蘇る。
「・・・・・・まさか、ね」
プラントの復旧の妨害者と、プラントの独占者。
互いに違う情報を与えられ、自分とディーは噛み合わぬ戦いを行った。
結局間違いだとはわかったものの、息つく暇もないまま事件は巻き起こった。
部屋に散りばめられた惨殺死体。
何者かに浚われた兄と姉。
シティ・メルボルンの遥か上空に人知れず浮かぶ賢人の庭・ワイズ。
そしてそこの主――――
「・・・・・・・っ」
”ベルセルク・MC・ウィズダム”
思い出すにも忌まわしき、しかし結局のところ何をしたかったのか掴めなかった狂人。
錬、フィア、祐一、ディー、セラ。
世界最高レベルの魔法士たち5人を鼻歌交じりであしらう程の化け物魔法士。
世界の情報定義を改変し、自らの世界を作り出すという情報制御の常識を覆すどころか粉々に打ち砕く能力――『七聖界』。
彼が暇を持て余していなかったならば、一瞬でやられてしまっていただろう。
それほどまでに、あれは人外だった。
自分たちが勝ちを収めたのは偶然の奇跡に過ぎない。
しかし、そのウィズダムもまた、何者かの下で動いている存在だった。
自らの死によって発動するプログラムであった『地神』に組み込まれ、彼は神にして人ならぬ巨人と化した。
そして、そこで自分は・・・・・・・・・
「れ――――ん、―――錬!」
「っ!?」
耳元に衝撃。
いや、衝撃と見まごうばかりの音波だ。
神経伝達が瞬間断線し、目の前がくらりと歪む。
「なにボーっとしてんのよ?」
「え・・・・・?」
どうやら知らぬ間に回想に耽っていたらしい。
目の前には不審そうに覗き込むファンメイの顔のどアップがあった。
「錬さん?」
きょとん、とフィアまで首を傾げる。
「あ、うん。大丈夫」
何が「あ」で、何が「うん」なのかは自分でもわからなかったけど、とりあえず相槌は会話の潤滑油だ。
そこにヘイズが割り込んできた。
「とりあえずここ出るか。何も穴倉ン中で再会を浸るこったねぇだろ?」
「そだねー。んじゃ行こっか」
・・・・・・ん?
何か、忘れてることがあるような・・・・・・?
「・・・・・・まぁいいか」
忘れるようなことならそう重要なことじゃないだろうしね。
そう無理やり結論付けて、錬は部屋を出ようとする三人の後を追い、
――その出口で三人の姿が”消えた”
「!?」
慌ててドアへと駆け寄る。
しかしフィアもファンメイもヘイズも、影も形すらない。
「な・・・・・・!?」
なにが、どうなってるんだ!?
そう思ったとき、忘れていた違和感を思い出した。
ファンメイと再会する前、自分とフィアがずっとこの階層を回っていた理由は何であったか?
「・・・・・・・・・」
無言で、目の前の空間をにらみつける。
何がどうなっているのかはわからない。
だが、これでタネは知れた。
「やっぱり・・・・・・空間が捻じ曲げられてる」
I−ブレインを通じて世界を見る。
脳に映し出されるのは目の前の空間。
見た目は何の変哲もないそこだが、そこのみ通常の空間とは全く異なり、無理やり捻じ曲げられ、切り離されてどこか別の場所へと繋がっている。
「・・・・・・・・・」
タネは知れた。
それはいい。
だがしかし、そのせいで問題が改めて提起された。
「・・・・・・こんな、無茶な”切り貼り”しといて、何で周りに何の影響もないんだ?」
空間に干渉する、という行為は、よく使われる言葉だが実際はそう簡単なものではない。
歪めるだけでも大質量を要するのに、それを不自然に捻じ曲げてしまえば当然周りの空間も釣られて”たわむ”。
情報制御で『自己領域』のように改変しようとも、それはそれでやすやすと判別できる痕跡が残る。
だが、目の前の現象はそんなものをあざ笑うようなものだった。
情報制御の痕跡など一切なく、それでいて滅茶苦茶な改変が加えられている。
まるで、そうあることが普通、というように・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・」
とりあえず、入ってみようか?
おそるおそる顔だけを中に突き入れる。
どうやらこの”向こう”は地下三階層へと繋がっているらしい。
覗き込んだ先には階段。地下へと続いている。
そしてちゃんとフィアたちの姿もあった。
どうやら一方通行ではあるものの、ランダムに接続されているわけではなさそうだ。
そうこう考えているうちにファンメイがこっちに気づき、
「――あ、錬も来た・・・・・・って生首っ!?」
「えぁ? ・・・・・・あぁ、そうか」
言われて自分がまだ首から上しか突っ込んでいないことに気づく。
「もー・・・・・・びっくりしたじゃない」
「ごめんごめん。・・・・・・それで・・・・・・」
先に少し深く下り、周辺を調べていたヘイズの方へ目線を向ける。
「三階層方面にゃ、特に以上はねぇと思うぞ。・・・となると、術者はこの奥ってことだな」
目線が向く先は、黒々とした闇を湛えるさらなる地下。
村の人たちの説明によれば、三階層はエネルギー系統を統括している層であるらしい。
そこは食料プラントであれ、工作プラントであれ、すべてにとっての生命線。
故にエネルギー系統統括の一角は少なからず警備システムがある、ということだ。
軍の設備には無論遠く及ばないが、それでも通常の侵入者を追い払うくらいの力はある。
錬たち魔法士にとってはそんなもの意にも介す必要のない些事である・・・・・・はずなのだが、
「――――あれ? なにこれ?」
先陣を切って降りていたファンメイが急に立ち止まり、しゃがみこんだ。
「どうした?」
「ん、なんかスイッチがあるの」
「スイッチ? まぁなにかわからんから押さねぇに越したことは「ぽちっとな」――っておいっ!」
時、既に遅し。
というかファンメイの好奇心を止めれるものなどこの世には存在しないといってもよいだろう。
何の躊躇もなく指が壁と地面の丁度設置場所に隠れるようにあったスイッチを押し、
じゃこん、と周りの壁から無数の銃身が飛び出してこちらを向いた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
ザ・ワールド、時は止まる。
そんなセリフが聞こえてきそうなほど、空気までもが静止した。
全員が全員、ロボットのように首を動かしてファンメイを睨み、
「・・・・・・・・・てへっ」
「――――何やってんだお前はぁぁぁっ!!」
ヘイズの叫びと同時に、壁の銃身が揃って火を吹いた。
*
0、3秒後に右。
0,2秒後に左斜め前方へ一歩。
1,3秒留まり、続く0,5秒で二歩後退・・・・・・
「・・・・・・っの・・・!」
目まぐるしく回転するI−ブレインの指示により、ヘイズは精一杯体をその通りに動かす。
密室に近い閉鎖空間だったことが仇となったか。
普通の射撃に加え、兆弾まで計算せねばならなくなっていた。
「ち・・・・・・っ!」
自分は回避ができても、周りの仲間全員が回避できるわけではない。
ファンメイはI−ブレインそのものを打ち抜かれない限り大丈夫ではあるが、
天樹錬とフィアはその限りではない。
錬の身体能力加速度では避けにくいと判断した一群に向かい、とっさに右手の指を打ち鳴らす。
弾かれた音は周りの空気分子の動きに影響を与え、一つの論理回路を生成する。
――破砕の領域
空気分子によって描かれた情報解体の力持つ論理回路が銃弾を消し飛ばした。
「ありがとっ、後は任せて!」
その一瞬で錬には十分だ。
ナノセコンドにも満たない時間でI−ブレインより自らの能力を呼び起こす。
ヘイズも最初に目にしたときは驚愕を禁じえなかった彼の能力。
他人の能力をコピーし、そしてまた自らの新しい能力を創造できるという化け物じみた力。
特化した最強にこそなれないが、あらゆる可能性を備えるがゆえに絶対に成り得る唯一の魔法士。
「――――いい加減に、落ち着けっ!」
未だなお銃弾を吐き続ける無数の銃身に向かい、これでもか、というほどの氷の弾丸が打ち込まれた。
衝突と共にそれらは凍りつき、二次的な爆発による被害までもを抑えてゆく。
三秒後。
最早この通路に動くものはヘイズたちしかいなくなっていた。
「・・・・・・・・・はぁ」
思わずため息。
刺激のある日常というものもまたオツなものということはわかっているのだが、
こういうスリルはやめてほしい、てかやめろ。
「あはは。びっくりしたねー」
その”びっくり”が致死レベルに達し始めてることに気づかねぇのかお前は。
白い目を向けてやるとさすがのファンメイも罪悪感はあるのか、照れ笑いに近い表情で固まった。
「え、えーと。さすがトラブルに巻き込まれやすいわたし、みたいな?」
今のはどうみてもお前が原因だろーがよ。
「トラブルに巻き込まれる、じゃなくてファンメイがトラブル巻き込んでるんじゃないの?」
・・・・・・言い得て妙。
錬のセリフにヘイズは心中大賛成した。
「む、なによその言い方」
「大当たりと思うがな」
「ヘイズまで!?」
「あの・・・・・・そろそろ三階層につきますけど」
おそるおそるフィアが仲裁に入った。
このテンションに割ってはいるのはさぞかし大変だっただろう。合掌。
ともあれ、三階層へと到達。
足が殺風景な鉄の床を踏む。
「・・・・・・さて、奴さんはどこいるかな?」
「さぁ? とりあえず全部見て回ろうよ」
「ま、そうするか」
とりあえず、歩いてみないことには話にならない。
「・・・・・・にしても、ファンメイっていつもああなの?」
なんかますます磨きがかかってるような、と声には出さないが顔を見れば一目瞭然といった表情で錬が問うた。
「そうだぞ」
即答。
一秒すらかからずに脊髄反射ともいえる速度でヘイズは返答した。
ついでに脳内に今までのファンメイの所業を思い浮かべてみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・いかん、涙が出てきた。
「・・・・・・苦労、してるんだね」
・・・・・・哀れみこもった視線は余計だ。
「あぁ、全く苦労も苦労だ」
はぁ、と大きくため息をつく。
「・・・・・・素直に納得しちゃいけないところってわかってるけどやっぱり無理だね」
そりゃあの様子を見ていて苦労しない人間がいたらそれは確実に新興宗教の教祖になれるぞ。
「ちょっと、錬。それどーゆーことよっ。フィアちゃんはそんなこと思わないよねー?」
「あの、えっと・・・・・・・・・」
事実は時として残酷である。
ってかもしかして自覚なかったのかこいつは。
だんだんツッコミタイプ・・・というか親父のように考える自分に気づき、ヘイズは疲れの混じった苦笑を漏らした。
気がつけば目の前に一つ部屋がある。
目をこらせば遠くにももう一つ二つ。
どうやら三階層はいくつかのブロックごとでエネルギーを分割して統御しているらしい。
「ここか?」
可能性は無きにしも非ず。
空間制御の術者がいるとなればこんなわかりやすい場所はフェイクかもしれない。
だがしかし可能性があるのならば行ってみなければならない。それが調査というものだ。
「さぁ?わかんないよ。とりあえず入ってみようか?」
言うが早いか錬はドアノブに手を掛け、しかしI−ブレインは戦闘起動の状態でドアを開け放つ。
一歩。
個室だ。
学校の教室くらいの広さの大き目な個室。
ここもやはり使われなくなって久しいようで、床にはうず高く埃が詰まっている。
そして、
「・・・・・・・・・?」
目の前の錬があらぬ方向を凝視している。
それにつられてフィア・ファンメイと揃ってそちらを向いた。
女の子が、そこにいた。
年のころ、外見年齢は14、5歳くらい。
錬と同じく黒髪黒目の東洋系の顔立ちだ。
腰まで伸びた長髪をそのままに、床に座り込んでいる。
錬が、口を開いた。
「君は――――――――――」
この少女が空間歪曲の犯人なのか。
普段ならば湧き出てくるそういった懐疑は、何故か全く出てこなかった。
それはいったいどうしてだったのだろう。
外見に反して、少女が浮かべる悲しげな表情のせいだったのかもしれない。
四人が見つめる中、少女はぽたりと一滴涙を床へと落とした。
おまけコーナー・暴走編
〜ウィザーズブレインゲーム化計画〜
タイトル 『Into the blue sky』(1人〜4人用対戦格闘ゲーム)
内容・・・延々と続くバトル。そんだけ、以上。ストーリーモードとアーケードモードの二種がある。
キャラクター紹介(一部)
・・・・・・数字はコマンドの向きを表す。1〜9の数字を5を中心とする3×3の正方形に並べ、上下左右をそれぞれ当てはめて記載。
天樹錬
・「月閃」 236攻 FD版→「月閃・千華」(FD・・・・・・フルドライヴの略。あんま意味なし。よーするにEX版)
・「マクスウェル・炎神」 623攻 FD版→「炎神・百鬼」
・「マクスウェル・氷槍」 214攻 FD版→「氷槍・十波」
・「チューリング・幻手」 421攻 FD版→「幻手・一穿」
・「ファインマン・砕覇」 63214攻 FD版→「砕覇・零朧」
EX技(オーバードライヴって書きたかったけどODって何か変だからヤメ)
・「ベイパーブラスト」 236236攻
・「氷槍檻」 214214攻(カウンター)
・「次元回廊」 4タメ646攻
・「無限の可能性」 弱6強4特(EX技カウンター。ダメージを四分の三に。対戦相手によって続く技が分岐)
→「サイバーグ」(VS祐一・雪・ディー)
→「極光」(VSセラ)
→「ヘカトンケイル」(VSエド)
→「強制同調」(VSフィア)
→「終わる世界」(VSウィズダム)
→(ファンメイ・ヘイズ・真昼&月夜にはなし)
特殊技
・「ラグランジュ」 特
・「ラプラス」 236特
隠しキャラ・1
ベルセルク・MC・ウィズダム
・「ウェイバーフロゥ」 236攻 FD版→「ウェイバーフロゥ ”業”」
・「ディストート・レギオン」 623攻 FD版→「ディストート・レギオン・”死出の槍”」
・「リザント・グローヴ」 214攻 FD版→「リザント・グローヴ・”七つ花盾”」
・「アルティ・ラウンド」 421攻 FD版→「アルティ・ラウンド・”奔る薄明”」
・「アブソリュート・テンパー」 63214攻 FD版→(ランダムで二つに分岐)
→「アブソリュート・テンパー・”氷界”」
→「アブソリュート・テンパー・”浄炎”」
EX技
・「ウェイバーフロゥ・”物質解体”」 236236攻(ガード不能)
・「フローズンハート・”牢獄”」 214214攻
・「カオスレインズ・”暗剣殺”」 2141236攻
・「セブンスヘヴン・”鏖”」 641236攻
・「セブンスヘヴン・”虐殺”」 463214攻
あとがき
「ふーぃ。やっと忙しい時期が終わった終わった」
錬 「結局テスト終わってもドタバタしてたからね」
「だからこの章は少々ハイテンション気味で書いた覚えがあるなぁ」
ヘイズ 「ってかファンメイが出てくる時点で日常描写がハイテンションにならないわけがねぇだろ?」
「ごもっとも」
フィア 「それで、この章で序章に出てきた人と出会ったわけですけど・・・・・・」
錬 「・・・・・・・・・誰、この子?」
「んー、次章で名前は明かされるよ。」
錬 「ウィズダムみたいな化け物じゃないだろーね・・・・・・?」
ウィズダム 「何か言ったか?」
錬・フィア 「!?」
「ふふ、作者特権秘奥義・『一瞬死者蘇生』。そんじゃ消えてねウィズダム君」
錬 「・・・・・・・・・心臓に悪いッ!」
「ぐおっ!?ちょっと待ったナイフはヤバイ―――って燃やすのッ!?」
(しばらくお待ちください)
錬 「消去完了・・・かな?」
ヘイズ 「消し炭にしたくらいで死ぬかね・・・・・・?」
「死ぬって・・・・・・」
錬 「わ、もう復活した」
「・・・・・・・・・子供は無邪気に残酷だよなー」
フィア 「そんなことはどうでもいいですけど・・・・・・私達は次どうなるんですか?」
「それはちっとだけ先。次章ではこの女の子との出会いを描いていくよ」
ヘイズ 「東洋系、だよなぁ。一体何モンだ?」
「とりあえずこの物語の主要登場人物ではあるからね。後はお楽しみに」
ヘイズ 「あいよ。――――さて、そんじゃぁ審問に入るか」
「え?」
フィア 「そうですね」
「?」
錬 「今回のおまけコーナー・・・・・・・・・一体ナニ?」
「読んで字のごとく。ゲーム化計画だけど」
フィア 「パロディじゃなかったんですか・・・・・・?」
「その章内にネタがある場合はね。前のあとがきにも書いたろうに」
錬 「いや・・・・・・まさか本当にやるとは・・・・・・」
「ふふふ男は口に出したことは絶対にやらねばならんのだよ」
フィア 「方向性が間違ってる気がします・・・・・・」
「んー、でもあのデータね。一応全キャラ分作る予定だよ。今は一巻二巻のキャラとウィズダムが完了してる」
錬 「うわぁ・・・・・・本気だよこの人」
「いい機会だから言っておこうか。このおまけコーナーはネタ扱いだから、もう本当に色んな物からパクりまくります」
「このコーナーは完璧に本文とは別物、として読んで下さい。ここは治外法権の領土です」
「本文は当たり前だけど完全オリジナル。だからその代わりこのおまけコーナーではっちゃけますので」
錬 「よーするに遊びたいんでしょ、ここでは」
「と、遠まわしな言い方すればそういう風にも言えるかなー・・・・・・」
ヘイズ 「やっぱ一度ヤっといた方がいいんじゃねぇか・・・・・・?」
「い? 待ったその威圧感はナニよ? ってか指構えるなぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ヘイズ 「――――『虚無の領域』。・・・・・・流石に消えたか?」
フィア 「えっと・・・・・・とりあえず、次回は謎の女の子の素性が少しだけ明らかになるお話です」
フィア 「第三章『なにかがはじまっているようだった』、お楽しみに。・・・・・・・・・・・・こんな感じでいいんでしょうか」
錬 「いいんじゃない? 少なくともあのいい加減な作者よりは」
ヘイズ 「違いねぇ。トドメにもう一発いっとくか?」
「やめぃ。あぁ・・・・・・畜生。また1機減ったじゃないか」
ヘイズ 「――――1機!?」