第八章

「夜の叫び」























Wenn tausend千 の 雷 Blitze flammen光 煌 く 時

――Wir sturzen vom Himmel 我 ら  天 空 よ り  und schlagen zu 来 た り  撃 つ .


























時は夜更け。場所はリビング。

最早定例ともなりかけている野郎二人の寂しい集いだ。

と、片方が大あくびとともにソファへ腰を下ろした。

「ふぁ・・・・・・う。あー、疲れたなおい」

ごろり、とソファに体重を預けて問うてくるヘイズに苦笑を向け、錬は答えた。

「・・・・・・最近いつもこんなセリフ言ってない?」

「違いねぇ」

即答した。

次いで、はぁ、と苦笑とともに漏れるため息。

ヘイズと顔を見合わせ、もう一度苦笑いする。

ラブアンドピースを聞き終えてからファンメイたちと一緒に町の散策に出かけたのだが、その途中で幸か不幸か、 昨日の散策では見つけれなかったらしい娯楽施設をファンメイが発見。

きらめかんばかりに目を輝かせている少女の頼みを無碍にするわけにも行かず、なし崩しに突入の憂き目となり、

そしてそのまま三時間もぶっ続けで遊び続けたのだ。疲れるに決まっている。

・・・・・・・・・中にあるのが妙なゲームばかりだったけどね。

正規の娯楽施設ではないのか、置いてあったゲームはどれも異様なものばかり、

うさんくささMAXの人型ロボが斬ったり撃ったりするシューティングだか格闘だかわからない『すれ違い宇宙』 に始まり、

格闘ゲームのくせに負けると何故かリアルに死ぬ『デッドオアダイ』

コンピュータ相手に勝てるわけない理不尽なワンサイドゲーム、『24h耐久にらめっこ』

三角関数、空間ベクトル、微分積分やらなんやらをふんだんに詰め込んだゴールまで何時間かかるかわからない三 次元のあみだくじ、『ラジカルロジカルマジカルあみだ』

そして極め付けに、見た瞬間画面をぶち割りたくなるような『飛角金銀桂香歩落ち将棋』、と、娯楽施設のはずな のに何故かストレスばかりたまりそうなゲームばかりだったのだ。

もう一度錬は大きくため息を漏らした。

疲れた。確かに疲れた。

・・・・・・けれど、

「・・・・・・でも、楽しいね」

疲れをにじませて、しかしそれ故に満面の笑みをもって錬は言った。

ヘイズは一瞬目を丸くし、すぐにやさしい笑みをもって答えた。

「あぁ、そうだな」

フィアがいて、ファンメイがいて、ヘイズがいて、リューネがいて、みんなで何気ない日常を笑いあって過ごせる というこの幸せ。

錬の今までの人生の中でも最高の一瞬が今このときだった。

無論、ヘイズも、ファンメイも、フィアもそうだろう。

これが、日常なのだ。

まだ暗雲が天を閉ざしてはいなかった光あふれる過ぎ去った時代。

そのときは、世界中すべての人がこうだったのだろうか。

この、ただそこにいるだけで日々を笑いあって過ごせる、というたわいもない幸せを掴んでいたのだろうか。

「・・・・・・・・・」

ぼふ、と錬もソファに横たわり、横目で窓から外を見上げる。

夜の暗さもあいまって見えるものは闇しかない。

・・・・・・それでも、この向こうには青い空があるんだ。

何かを掴むように手を伸ばす。

この幸せが、あの空の向こう側からきたかのように。





――――けれど、幸せというものは、対になるものがなければ幸せとは呼ばれることはない。





犯人や事件がいるから探偵が成り立つように、

倒すべき悪がいるからヒーローが必要とされるように、幸せもま た、対極になるものがあるからこそそう呼ばれるのだ。







手を伸ばしていた窓の外、そこに一瞬だけ赤い光がちらついた。

「・・・・・・・・・ん?」

光・・・・・・?

何か不審なものを感じて身を起こす。

今時分こんな夜更けに花火をやる馬鹿はいない。

ならば何かの機器が爆発したとかそういった考えに落ち着くのが妥当だ。

横を向くとヘイズも気づいたようで、自分と同じように体を起こしていた。

一瞬目線を交わし、窓の外へ顔を出す。

見れば確かに赤い光が生まれている。

天より地へと幾筋もの赤い線が延びているのだ。

・・・・・・・・・それは、それだけを見れば幻想的な光景であっただろう。

だがしかし、それは断じてそんな生易しいものではない。

「な―――――――!?」

絶句する。

地表へと赤い”火線”が延びてゆく。

大地についた赤はそのまま拡散して己が領域を広げた。

見間違えるわけがない。

これは、これは――――!

「ば、爆撃だと!?」

「町が、燃えてる・・・・・・!」

その言葉と同時におぉぉん、と遠雷のような爆音が耳に届いた。

一瞬でI−ブレインを戦闘起動。

闇によってよく見えない部分を演算解析し、遠くを見やる。

赤い火線を逆にたどり、空へと目が移り、そしてそこにいくつもの船影を確かに捉えた。

「――――飛空艦艇の軍!?」

それに気づいたヘイズが愕然と声を上げた。

闇夜、ステルスを使い緩やかに遊弋しながら幾つもの火線を大地へと落としてゆくその影は、確かに飛空艦艇のも のだったのだ。

「シティの軍!?」

「知るか! だがこんなことは放っておいていいわけねぇ!」

ぎり、と歯をかみ締めながら一挙動で錬とヘイズは窓から離れ、走り出した。

許せない。

どんな目的があろうと、無抵抗な町へと無差別爆撃を行うなんて許してはおけない!

「フィアたちを起こしに行ってくる!」

「急げよ! 俺は荷物まとめておく!」

互いに叫び、錬はフィアたち三人が寝ている部屋へ、ヘイズはそのまま階下へとと走っていった。











    *














「――――フィア! ファンメイ! リューネ! 起きてっ!」

ドアを蹴破らんばかりの勢いで開け放つ。

続く動作で明かりをつける。

安眠していた少女三人が眠たげに体を起こした。

「んむぅ〜? あ、おあよ〜」

「ぅ・・・・・・ん?」

「れん、さん・・・・・・?」

三者三様に寝ぼけ眼を向けられる。

髪の毛が寝癖でぼさぼさのファンメイ。

布団をすっぽりかぶって目より上しか見えていないリューネ。

寝相か なにかで胸元のボタンが取れているフィア。

それらに(特にフィアに)赤面しながらも大慌てで言う。

「い、いいから起きて! 大変なんだ!」

その大声にさすがに事の重大さを悟ったのか、一人、また一人と目つきが魔法士のそれに変わってゆく。

「・・・・・・あふぅ。 なに、なにがあったの?」

あくびをかみ殺し、ファンメイがこっちを見据える。

「・・・・・・え? あ、わ、れれれれんさん!? どどどどうしてこの部屋にいるんですか!?」

わたわたと見ているこっちが恥ずかしくなるくらいの慌てようでフィアが乱れた胸元を整える。

その後ろで不安げにリューネが起き上がる。

「あー・・・・・・その、えっと・・・・・・詳しいことは後から話すからとりあえず急いで起きて!」

今更ながらに年頃の女の子の寝室に突入してしまったという気恥ずかしさがやってきた。

もう起きているのにさきほどのセリフを繰り返す錬。

・・・・・・落ち着け、落ち着け僕。

すぅ、と深呼吸をして心を落ち着ける。

一回強く目を瞑り、開ける。

それで雑念は消えた。

故に話すは真相。

「シティかなにかはわからないけど、飛空挺の集団がこの町を襲ってるんだ!」

もはや今ではかすかにしか聞こえていなかった遠雷のような爆発音がここまで聞こえ始めてきている。

始めは不審気に首を一瞬傾げたフィアとファンメイだったが、その音を聞いて表情が固まった。

「ホ、ホントなの!?」

「なんでこんな町を!?」

信じられないように二人が叫ぶ。

・・・・・・無理もない。

理由もなにもわからないのだ。

ここはシティのエネルギーを間借りしている海賊都市でもなければシティ・メルボルンのように犯罪者の坩堝でも ない。

なのに、なぜ・・・・・・・・・?

と、そこで錬は唯一今叫ばなかった少女に眼をやった。

リューネは布団に包まったまま。

しかしその表情は今ここにいる誰よりも青ざめている。

宿る表情は恐怖、そして諦め。

・・・・・・・・・諦め?

ふと違和感を感じる。

けれどそれはリューネの漏らした言葉の前に飲み込まれた。

「そんな・・・・・・・・・なんで、もう・・・・・・・・・」

もともと白い肌がもはや蒼白の域まで青ざめている。

目線は定まらず、口元は震えている。

・・・・・・・・・リューネ?

声をかけようとしたがなぜかそれは躊躇われ、心の中だけで呟く。

そのとき、ついに爆風がこの家まで影響を及ぼし始めた。

「うぁっ!?」

「きゃぁ!?」

大地震もかくや、という揺れが襲ってきた。

バランスを崩し、倒れそうになるファンメイを支え、一刻の猶予もならぬと錬は声を放った。

「――――とにかく急いで! Hunter pigeonに乗り込むんだ!」

「は、はい!」

答えは返るもののその刹那に赤い光が外を満たした。

――――第二波!

気づいたときには遅い。

至近距離に着弾した今度の一発は先ほどのものとは比べ物にならなかった。

世界がひっくり返るような衝撃。

「きゃぁぁぁっ!」

「っ・・・・・・!」

家具が吹っ飛び、壁が崩れ、誰もが弾き飛ばされた。

錬とファンメイは床に叩きつけられ、フィアは崩れてきた本棚に押しつぶされ、リューネは壁に吹き飛ばされた。

「ぐ・・・・・・っ!」

めきめき、とあばらが軋んだが歯を食いしばってラグランジュを起動。

先ずは本棚の下敷きになったフィアに駆け寄る。

「フィア! 大丈夫!?」

一挙動で重い棚を持ち上げる。

「なんとか、です・・・・・・っ」

とっさに頭だけはかばったらしく、これといったケガはない。

打撲だけですんだようだ。

だが、もう一人はそうはいかなかった。

「リューネ!?」

ファンメイの叫び。

壁に叩きつけられたリューネは気を失したのかぐったりと動かない。

出血はしていないようなので、おそらく頭を打っただけだろう。

最早一刻の猶予もない。

先ずは脱出し、すべてはそれからだ。

フィアが月夜から渡された護身用のハンドガンを懐に入れ、ファンメイは指輪を握り締める。

それを確認してラグランジュを発動。



(運動速度を5倍に再設定)



「っ!」

歪んで開かなくなったドアを強引に蹴り破る。

そのままリューネはファンメイが担ぎ、フィアを引き連れて階下へと飛び降りた。

そこでヘイズが待っていた。

「行くぞ!」

「うん!」

「はい!」

たった一言だけを交わし、外へと躍り出る。

その瞬間、目の前に影が落ちた。

「!」

反射的に『氷盾』を起動。

刹那、家から飛び出した錬たちを一網打尽にする軌道で降ってきた爆弾がそれを接触し大爆発を起こした。

「ちぃ・・・・・・っ!」

いくらなんでも完全無効化はできない。

それを見て取ったヘイズが指を鳴らし、爆風ごとすべてを解体した。

一拍遅れてファンメイが言う。

「ミ、ミサイルー!?」

「ナパーム弾です!」

「しょ、正気かコイツら!?」

町にしてはかなり規模が大きいとはいえモンロー効果まで付与させた高価なものを使うなど、どうなっている!?

叫ぶ間もない、次々と頭上に浮かぶ黒い影。

「くそったれが・・・・・・っ!」

迎え撃つようにヘイズが断続的に指を鳴らす。

空気分子に刻まれた論理回路が情報解体の威力を持ちて触れるすべてを打ち消してゆく。

この弾丸が打ち出されたものではなく、落としただけの爆撃で幸いだった。

音の振動をもって論理回路を形成する以上、ヘイズの能力は音速を超えて運動するものには追いつけない。

しかし、今の問題は数だった。

「っ・・・・・・! 間に合わねえ!」

指揮者のように両手を振り鳴らし、足まで踏み鳴らしていたヘイズだがついに解体の速度を数が上回った。

上空5m程度の場所に形成されていた『破砕の領域』の網を掻い潜るコースの弾丸が二つ。

氷盾で受け止めても壊されるのがオチだ。

そのとき、金髪の天使の少女が一歩を前に踏んだ。

「フィア!?」

驚くこちらには振り返らず、フィアは天使の翼を顕現させ、指を襲い来る破壊へと突き出し、







「―――――――Ade weites Land 常 世 に   別 れ を   告 げ ―――――――! 」







ただ一言を、言祝いだ。

彼女の母国語、ドイツのリート。

流麗なる発音で搾り出されたそれは、自己暗示とともに一種のスイッチとなっている。

天使の翼が世界を捉え、空気を操って大気のクッションを形成した。

再び天使の少女が歌う。







Heim geht jetzt die Fahrt 帰 途 に 着 く ・・・・・・・・・! 」







空気の緩衝材が渦を巻いて弾丸を捕らえる。

減速。

やさしく手で包み込まれたように弾丸の速度が減衰した。

その機を逃さず、錬はI−ブレインを一喝した。



(「分子運動制御」 常駐 『雪波』 発動)



極寒の極波が弾丸を氷漬けにする。

そこで爆撃は途切れた。

「・・・・・・終わったか?」

ヘイズが誰ともなしに呟く。

答えるものは誰もいない。

目的を達したので爆撃を終えたのか、それともこれから制圧にかかるのか。

そのどちらかはわからない。

・・・・・・だが、どうやら後者が正解だったようだ。

「・・・・・・・・・フィア」

「・・・・・・はい、大勢の人たち、多分兵士さんたちがこっちに向かってきています」

天使の翼を一瞬だけ震わせ、フィアが答える。

それにぎり、と錬は唇を噛み締めた。

「何人くらいだ?」

ヘイズがフィアに問う。

「詳しくはわかりませんけど、・・・・・・多分100人は下らないと思います」

「師団クラスか・・・・・・。そこまでして何をしたいってんだ・・・・・・?」

呟きながらジャケットの裏側よりヘイズは銃を抜き放った。

それに習うように錬も腰からサバイバルナイフを抜き放ち、ファンメイは爪の先だけを鋭利に変化させた。

「ファンメイ・・・・・・大丈夫なの?」

ファンメイの体の90%を構成する生体細胞、『黒の水』は徐々にファンメイの”人間部分”を蝕んでいる。

どんな多少な変化であれ、それは一気に症状を推し進めてしまう原因になりかねない。

けれど、黒髪の少女はにっこりを笑った。

「だいじょうぶ! それにわたしだって戦えるんだからぁっ!」

顔は笑っているが、その目は真剣そのものだ。

もう足手まといは嫌だと、誰かに守り続けられるのもごめんだと、その瞳は告げていた。

「そう。・・・・・・無理はしないでよ」

ならばこちらが口を挟める問題ではない。

ファンメイ自身が覚悟とともに決めたことだ。

他人の自分が口出しするのは侮辱と等しい。

「ここからだと町の北ゲートがハリーと合流するのに一番近い。なんとかそこまで突っ切るぞ」

銃を片手に周りを眺めていたヘイズが言う。

全員、無言でうなずき、走り出すために足を踏み込む――――直前に目の前の地面へと何かが突き刺さった。

「!?」

地面に刺さったものは銀色の金属。

流線型のフォルムに刃がはめ込まれたそれは一本のナイフだ。

・・・・・・・・・ナイフ?

ふと、何か引っかかるものを感じた。

ナイフ、刃、武器、戦争、襲撃――――――――”襲撃”

脳裏に浮かぶは昨晩の襲撃。

あの時の男が持っていたナイフ、それとこれはまったく同じものではないか!?

「まさか、これも―――――――!?」

脳に危険信号が乱舞する。

これがあの時と同じというならば、これから起きるものはなんだ!?

「みんな、気をつ――――」

遅かった。






(システムエラー 演算処理に致命的な妨害を検出)






「く、ぁっ!?」

「な、なに・・・・・・っ!?」

割れんばかりの激痛がこの場にいる全員を襲った。

誰も彼も膝を折り、頭を抑えて苦悶の表情を浮かべている。

し、しまった・・・・・・!

「――――っ、まさか、これは・・・・・・『結界』!?」

歯を食いしばりながらヘイズが搾り出すように言った。

・・・・・・結界・・・・・・だって!?

確かにこの効果は論理回路によって作られた『結界』の症状と捉えてもおかしくはない。

微細な論理回路を持ちえれば情報干渉を遮断するくらいのことはできるだろう。

自分がエドと出会ったあのプラントにもあったのだから。

だがしかし、問題はそこではない。

「こんな、ナイフだけで・・・・・・!?」

あり得ないほどの微細な論理回路。

いや、これは”支点”だ。

どこか他の場所にもナイフは刺さり、それぞれが頂点となって結界を形作っている。

思い返せば昨晩の襲撃も、男は一本目と二本目のナイフはこちらへ投擲してきていた。

空間、ないし面を形成することによって発動する。それがあのノイズメイカー現象の正体だった。

「く・・・・・・っ、なら、抜き取るだけ――――!」

どこに何本刺さっているかは知らないが、あれが刺さったことで発動したというならばあれが自分らを包む”頂 点”のひとつのはずだ。

ならばそれさえ抜き取れば――――






――――銃声。






「!?」

咄嗟に飛びのく。

頬を熱い何かがかすっていく感触。

しかしそれでもナイフは投擲した。

投げられたそれは狙いたがわず地に刺さる銀の楔を弾き飛ばす。

途端、

 



(Iブレイン 機能回復 戦闘起動)





I−ブレインを苛んでいた論理構造が消え去った。

「錬さん・・・・・・」

銃弾が頬を掠めたこちらに心配そうに声をあげるフィアに無事だと片手を上げ、

・・・・・・そして、視認した。

「・・・・・・・・・な」

最早絶句することしかできない。

目の前から歩いてくるのはシティの軍すら超えているであろう重装備を担った兵士たちの一群。

先ほどのナイフといい、ここまでの兵力を持つシティなど聞いたことがない。

「・・・・・・・・・っ」

・・・・・・・・・絶体絶命、か。

無数の銃を突きつけられ、錬たちは謎の軍と睨み合った。










―――――――終わりへのカウントダウンが、始まる。



























 おまけコーナー・幻想編 

〜フィア・覚醒?〜

フィア 「―――――――Ade weites Land 常 世 に   別 れ を   告 げ ―――――――! 」

天使の翼が顕現する。

フィア 「Heim geht jetzt die Fahrt 帰 途 に 着 く ・・・・・・・・・! 」

金色の光が辺りを満たし――――

フィア 「――――――――――”固有結界”

四人 「ちょっと待てッ!?」



あとがき

「あーつーいーつーかーれーたー」

ファンメイ 「・・・・・・溶けてるね」

フィア 「・・・・・・溶けてますね」

ヘイズ 「まぁ確かに今日は30℃越えてたしな」

錬 「ならもっと溶かしとく?」<『炎神』起動

「ぬぅあっ!?」

錬 「冗談だってば」

「いや・・・・・・過去の経験から、ね」

ヘイズ 「・・・・・・そういやお前さん燃やされたり解体されたりしてるからな」

ファンメイ 「溶かされるくらい大丈夫じゃない?」

「大丈夫じゃないッ!」

フィア 「えぇと・・・・・・本題に入っていいですか?」

錬 「あ、ごめんごめん。今回の話は――――」

「ん、ついにこの章からメインストーリーが始まっていくよ」

ヘイズ 「のっけからいきなり戦争かよ・・・・・・」

「そう。今回は今までみたいな個人との”戦闘”ではなく、どんな汚いことでも勝利に通ずるならそれを行う”戦争”なんだ」

錬 「・・・・・・・・・そういうのは、嫌だ。・・・・・・けれど、それが必死なんだろうね」

ヘイズ 「勝てば官軍。こういう考え方は好きじゃぁねぇが、そういうものだからな」

「そう。だから君らにはこれを乗り越えてもらわなければならない」

フィア 「・・・・・・・・・あの時を、もう一度やり直しているような、気がします」

「どうなるかは君らしだい。そしてまた、どうするかも君らしだいだよ」

錬 「・・・・・・・・・うん」

ヘイズ 「というわけだ。次章は第九章・『黄金夜更』」

ファンメイ 「町を襲うこの軍隊の正体とは? そして彼らの目的とは? そういうお話なの」

フィア 「けど・・・・・・どうしてリューネさんを狙うんでしょうか」

「それはもうすぐわかる。けれど、ヒントはあちこちに隠されているよ」

錬 「ヒント?」

「そう。町をひとつ巻き添えにするということは、リューネには”それすらも厭わない”価値、危険性があるということかもしれない、とかね」

フィア 「・・・・・・・・・よく、わかりません。今では」

「それが普通。だからゆっくり、けれど覚悟を決めて待っていなさい。・・・・・・特に君は、ね」

フィア 「・・・・・・・・・?」

「・・・・・・っと。珍しくまともなあとがきになったなこれ。ブチ壊しにするためにおまけコーナーのことでも書いとこうかな?」

ヘイズ 「・・・・・・・・・ホントぶち壊しだなおい」

ファンメイ 「せっかく珍しくキマってたのにねー・・・・・・・・・」

「やかましい。ま、出典だけ言うと今回のは小説・『空の境界』からです。外国人ぽい名前の人が唱える呪文がかっこよかったんで使ってみました」

錬 「それはいいけど、学園化の方はいいわけ?」

「む。始動にはまだ少しかかるべさ。一応先に意見・協力者を募ってみるけど」

錬 「ま、足引っ張らないようにネ」

「へーい。そんじゃ、第九章でお会いしましょー」

ファンメイ 「むー、まともすぎてなーんか物足りない気分ー」

ヘイズ 「そうだな。いつもと違って奇声も発してないし」

「・・・・・・・・・俺の人格定義はどうなってるおい」

錬 「変人」

フィア 「奇人」

ヘイズ 「怪人」

ファンメイ 「宇宙人」

「――――やかましいッ! ってか最後のは何だいったい!?」

四人 『――――共通見解』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(泣)」















SPECIAL THANKS!
天海連理さん(誤字脱字校正部隊)
有馬さん(〃)
闇鳴羚炬さん(〃)