『deus ex machina』
総括あとがき
はじめに
どうもー、作者のレクイエムです。
こんな長ったらしい物語を最後まで読んでいただき、誠に有難うございました。
少しでも楽しんでいただけたのなら、それだけで至上の幸いです。
WBの世界をどこまで表現できたのかわかりませんが、一章一章、全力を込めて書き終えることがで
きました。
それでは、『あの空』の総括あとがきと同じく、また長ったらしい裏設定あーんど楽屋裏話へと入っていきたいと
思います。
そのいち
さて、本作『deus ex machina』は前作の『あの空の向こう側へ』の半年後となる続編を描いた物語です。
登場キャラは一巻と四巻。それにオリキャラであるリューネ嬢を加えてストーリーを展開していきました。
今回の物語のテーマは、前作でまったく表現できなかった『日常』。
それと運命に翻弄されながらも、しかし屈さ
ずに走り抜けるという『生き抜くこと』を重点に置いてあります。
他にも様々な副題などがありますが、一番重要なのはこの二つですね。
前作でぜんぜんやっていなかったため、日常を描くのはとても楽しいものでした。
いやまぁ六章「食という名の暴力」はちぃとやりすぎたよーな気がしないでもないですが。
とにかくも、争いを感じさせないありふれた日常を笑顔で過ごしてゆく、というほのぼのさは感じられましたか?
それ見たさが極まって書き始めたのが現在進行中の暴走企画・「WB学園」なのですがまぁそれ
はおいておきましょう。
――――さて、主に「deus」は四つの場面に分けられています。
起承転結のはじめ、「起」の部分はリューネと出会うところまで。
続くありふれた日常を幸せに過ごす夢の三日間が「承」。
黄金夜更に襲われ、リューネの正体が判明するところまでが「転」。
そして答えを見出し、運命に決着をつける「結」と相成ります。
最後の二場面はとんでもなく苦労した覚えがあります。
「生き抜く」ということをまだ17年しか生きていないこの青二才が表現するなど、勘違いも甚だしいでしょう
が、それでもこれが一番書きたかったことです。
惰性で「生きる」のではなく、しっかりと一日一日を「生き抜く」こと。
それは常日頃俺が憧れていることでもあります。
錬たちの言葉を、思いを受け、リューネは生き抜きました。
――――皆様の目には、どう映りましたか?
俺の描いていきたい「生命讃歌」のはじめの二歩。
『あの空の向こう側へ』で気づいた、”ただそこにある”ということ。
それを踏まえて一歩を踏んだ、”生き抜く”ということ。
そして最後の一歩は、じきに始まります。
……長い語りになってしまいました。
ここはこのくらいにして、いよいよはっちゃけていきますかー!
そのに
さーて、そいでは恒例のキャラ位置づけの発表。
今回は『あの空』に比べて登場人物少ないからちょっちは楽だわー。
そいではごー。
天樹錬
・基本コンセプトとしては『あの空』とあまり変わっていません。
いつでもどこでもお人好しスキル全開。最近やっと自分の暴走ぶりに気づき始めてきたところです。
しかしそれでもフィアが絡むと歯止めが効かなくなるのはいつものこと。
ってか唯一のストッパーであるフィアがその場合事件に巻き込まれてるんだから結局暴走するんじゃねぇかおい。
そんなこんなで当然役割はファンメイたちに翻弄される受難キャラ。
ヘイズと並んでWB内で一番気苦労が多いキャラだと俺は思いますがどうよ?
前作に引き続き主人公なんですが、どちらかといえば今回は「語り手」という感じですね。
リューネという過去の焼き直しを前にして、彼は何を思ったのでしょうか。
フィアをもし自分が救えていなかったら、という恐怖。
結果はどうであれ、リューネを守りきれなかった後悔。
錬にとって、この物語は自らを見つめ直す大切な転機です。
ただ信念を、自分の正義を貫くだけではできないことがある、と。
世界を満たす理不尽へ、どう立ち向かっていくのか。
――――それは、とある少女が歩んでいる道。
自らの鏡像であるそのもう一人の自分と出会ったとき、錬は何を感じるのか。
それは、最終作で書いていきたいと思います。
カテゴリ:『悪魔使い』
保有能力:「ラグランジュ」「ラプラス」「ファインマン」「マクスウェル」「サイバーグ」「チューリング」
「シュバルツシルト」
武装:サバイバルナイフ『月光』(予備数本) 投擲用ナイフ『迅雷』 偏光迷彩マント『陽炎』
特殊技:『炎神・百鬼』 『氷槍・十波』 『マクウスェル・雪波』 『チューリング・死線』 『終わる世界・虚の太
陽』
ステータス:体力―B 演算速度―B+ 攻撃力―B 防御力―C+ 敏捷性―B+ 技能―B 成長性―∞
スキル:「能力創生」 「我流格闘術」 「刃立て」 「不屈の意思」 「見切り」 「負傷忘却」 「底力」 「不幸&受難」
フィア
・あまり見せ場は無く、役に立たないことが多かったのですが、やはり彼女は彼女のままでしたね。
リューネという自分の「妹」に対する思い。
世界の美しさを伝えてあげたいという切望をもって、彼女は先達として道を示す。
間違っているから伝えられない、ではなく。
間違っているなら違う道を示すのみだ、という考え。
その甲斐あってこそ、リューネは最後まで走りきれたのでしょう。
・・・・・・むぅ、ってかホントこれ以上書くこと無いほど出番なかったなぁ。
カテゴリ:『天使』
保有能力;「無名」
武装:拳銃『タスラム』(月夜謹製) 強化外套『オフェーリア』(月夜謹製)
特殊技:『奇跡の詩』(没ネタ・未発表)
ステータス:体力―C 演算速度―A+ 攻撃力―E 防御力―C 敏捷性―D+ 技能―B 成長性―B
スキル:「同調能力」 「射撃術(師・月夜)」 「必中」 「速射」 「癒しの翼」 「客観戦闘」 「不屈の意思」 「聖
人」
リ・ファンメイ
・いやはや苦労しましたよこの全天候型暴走娘子書くのは。
なんてーか、しっくりくる言葉遣いが上手く書けなかったもので、ちょいと彼女のセリフについては不完全燃焼気
味ですね。
一応何度も二巻四巻を読み返したのですがどうにも捉えがたく、まぁちょいと違和感感じる方もいらっしゃると思いますがお許しください。
この物語で初登場のファンメイ。
――――実は、この「deus」の真・主人公は彼女です。
語り手の役目や、前作から錬が主人公のように見えますが、実際のところの物語の「答え」を見出したのは彼女の叫びなんですね。
「過去は現在に追いつけないが、現在もまた、過去から離れることはできない」
どんなに泣こうがわめこうが、起きたこと、起こってしまったことは絶対に変えられない。
悲しみだけを捨ててはいけない。
辛いときも、悲しいときも、嬉しいときも、その全てが事実として今の自分を形作っているのだと。
まぁ賛否両論ありますが、一番WBで純粋に悲劇を多く体験しているのは彼女だと俺は思っていますから。
そのおかげで、こんなセリフが吐けたのでしょうね。
次いってみます。
カテゴリ:『龍使い』
保有能力:「身体構造改変」「絶対情報防御」
武装:「なし」
特殊技:『劫龍』
ステータス:体力―A 演算速度―B 攻撃力―B+ 防御力―A 敏捷性―B 技能―C+ 成長性―C
スキル;「戦闘論理」「肉体武装」「情報干渉遮断」「裂帛」「アーマー」「不屈の意思」「トラブルメイカー」
ヴァーミリオン・CD・ヘイズ
・こちらも今作が初登場。
真っ赤なニヒルな兄ちゃんでございます。
ちなみにヘイズがお酒好きってのは俺の勝手な解釈ですのでそこんとこヨロシク。
性格の基礎を例えるなら「力強い柳」。
飄々と大事ですら何気ないような口ぶりで軽く言い放つ彼ですが、実のところ誰よりも熱意は激しいのです。
服従せず、妥協せず、常に進むは己の道。
颯爽とした姿はまるで風を思わせます。
大体のところ、見せ場を浚ってったのは彼じゃないでしょーか。
あ、後『破滅の領域』に加えもう一つの新技があったと本文中で書いてますが、そちらは次回作で登場する予定で
す。ってか出すの忘れてました。
なんとなーく俺の中で彼は説明キャラっぽい位置づけなんですがどうよ?
はい次。
カテゴリ:『?』
保有能力:「なし」
武装:拳銃
特殊技:『破砕の領域』『虚無の領域』『破滅の領域』
ステータス:体力―A 演算速度―S 攻撃力―B+ 防御力―C 敏捷性―C+ 技能―EX 成長性―E
スキル:「万象予測」「我流格闘術」「見切り」「戦艦操縦」「不屈の意思」「客観戦闘」「うわばみ」「不幸&
受難」
エドワード・ザイン
・おそらくこの物語で一番活躍してない子。
いやそのなんてーか四巻のキャラで行きますーと宣言したからにゃやっぱエドも出すべきだよなと10章書いてる
くらいで思い立ちまして(死)
ぜんぜん見せ場も出番も無いので登場をかっこよくやってみましたが、ダメですかそうですかエド好きの方。
エドと誰か、っていうセットなら書きやすいんですが、どーにも集団になると話に入らせづらいんだよなぁ。
というわけですまぬエド。君の活躍はまた今度ね。
ま、これで四巻のキャラは全員出せたし、おーけーだよな?
い、一応リチャード先生も出したんだぞー(汗)
次いくか。
カテゴリ:『人形使い』
保有能力:「ゴーストハック」
武装:なし
特殊技:『ペネトレイション』『ウィアリング』
ステータス:体力―D+ 演算速度―B 攻撃力―C+ 防御力―D 敏捷性―D+ 技能―A 成長性―B
スキル:「戦艦操縦」「客観戦闘」「危険察知」「持続」「天然」
リューンエイジ・FD・スペキュレイティヴ
・ウィズダムに続くオリキャラ。この物語の主人公の一人にしてキーパーソンってるキャラです。
彼女は、フィアをどこまでも悲観的にしてみたらこうなるかなーってな感じで書いていました。
まぁ、本当のリューネは学園や最終章のように無邪気な明るい性格なんですがね。
……一体誰がウィズダムの妹だと思おうか(ぉ)
カテゴリ・『調律士』というのはウィズダムに連なるものとして考えたものです。
『御使い』が世界を改変するのなら『調律士』は世界を統帥する。
かなーり厳しい制約こそありますが、現時点で絶対の能力ですね。
その制約ってのはまぁいろいろと脳内補完してるんですが、少しだけ明かすと先ず第一の要素として
「他人の干渉が為された情報構造体を”永久改変”することはできない」
ってのがあります。
他のものではなく”他人”ってところがミソですよ?
んで、第二には
「”永久改変”する要素ないし対象により、発動までの時間が変動する」
があります。
一見制約っぽく見えんのですが、”永久改変”ならず”一時改変”も発動までにえっらい時間かかるもんなので
す。
『黄金夜更』からテレポートで逃げたときにタイムラグがあったのはそのせいってなわけですね。
あ、ウィズダムの『七聖界』はこれにゃあてはまりませんよ。あいつぁ”固定”じゃなくて”改変”で留めてます
からね。
……とまぁ、様々な裏設定があるリューネさんです。
他にもいろいろとありますよー。学園の方の紹介で少しは明かされてますがあんなの序の口ですからね(邪笑)
たとえばたとえばマイブームが圧力鍋とか(謎)
こんなとこですねぃ。全部書くとおそらく一章分くらいになりそうなんでやめときましょ。
彼女が”生きたい”という決意を固めるシーンは本編屈指の名シーンに仕上げたつもりですが、どうですかね?
カテゴリ:『調律士』
保有能力:「無名」
武装:『オフェーリア』
特殊技:「主よこの魂を憐れみ給え」(本作未発表……のハズが、どういうわけか学園暴走編・「激闘! VSメカファンメイ」で登場している)
ステータス:体力―C 演算速度―EX 攻撃力―E 防御力―C 敏捷性―C 技能―C 成長性―完成
スキル:「永久改変」「客観戦闘」「不屈の意思」「ポーカーフェイス」「負傷忘却」「かばう」「究極の一」
そのさん
はーいやってきました日の目を見ることなく捨てられた哀れな子羊たちが集う夢の島です。
――――さぁ、背筋伸ばして歯ァ食いしばれッ!
一番手はスケールのでかいやられ役、とことんまで悪役の定石をたどるそんな貴方がステキです♪
永遠の引き立て集団、『黄金夜更』ー!
『黄金夜更』(固有名詞:組織名)
・世界最大の空賊。構成人数は千名を超過し、保有艦隊は大小合わせて五百に達すると言われている。
シティの技術を狙って略奪を行うことから名前のみは知られていたが、その全容は全として明らかになっていな
かった組織。
魔法士の部隊「アウセルデレイダ」と「ゲーティア」を有し、同じように空軍にも二種の部隊、「ナコト」と「ア
ブラメリン」を編成させている。
旗艦は『アレイスター』。
遥か昔に存在していた魔術結社『黄金夜明』をもじった組織であり、部隊名などにはそれゆえかオカルト関連の名
がつけられている。
「アウセルデレイダ」はノタリコン系統に出てくる一文であり、「ナコト」と「アブラメリン」はいずれも魔道
書。
大体ポピュラーですごい魔術書の名がつくほどその部隊は強大であることがわかる。
たとえば、地上最大戦力である「ゲーティア」は史上最強の魔道書の名である。別名を「ソロモン王の小さな鍵」
と言えばわかるだろうか。
『アレイスター』は『黄金夜明』の首領であった「アレイスター・クロウリー」からとったもの。
他にも、鉄壁の時空間防壁の「キタヴ・アル・アジフ」も魔道書の名である。
一シティにも匹敵する戦力の下、略奪の限りを繰り返していたが、その歴史はたった五人の魔法士によって終止符
が打たれた。
『アレイスター』(固有名詞:機体名)
・全長一kmという巨大な体躯を持つ『黄金夜更』の旗艦。
そのフォルムはほぼ球状で、船というよりは砲台と言った方が正しい。
Hunter Pigeonと同じく戦前の船であるが、Hunter Pigeonが試作機だったのに対し、こちらは完成機。
球状の船体表面はほぼ隙間無く砲台で埋まっており、そのどれもが通常の戦艦のそれの数倍以上。
加えて超巨大収束プラズマキャノンという空気を圧縮することによって熱を持たせ、プラズマ化して発射するトン
デモ砲を有す。
本編には記していないが、この砲を「YHWH」と言う。
また、外壁に時空間防壁「キタヴ・アル・アジフ」を持つ。これは外部からの攻撃は時空歪曲によって送り飛ば
し、中からの攻撃は空間歪曲によって飛ばすという反則バリアである。
ホントは時空間の無限分割とかゼノンのパラドックスとか色々書きたいけどやめときます。
まぁよーするに敵の攻撃はかき消してこっちの攻撃は通すバリアってことでひとつ。
……うーむ。意外にホントは世界征服とかできたんじゃねぇのかコイツら。
問題はエネルギー源だけなんだがねぇ。
ま、終わったことだ。
はい次。
『調律士』(固有名詞:カテゴリ)
・同調能力者・『天使』のアドヴァンスト・タイプ。マザーコア特化型魔法士。
周囲の情報構造体に同調し、微小な改変を行う『天使』の能力をさらに発展させたもの。
『調律士』は周囲の情報構造体に同調し、それを任意に書き換えることまでは『天使』と同じ。
この書き換える力は『天使』のそれより圧倒的に強く、そして広い。
だが何より『調律士』を特異たらしめる要因は、その改変した行為を”固定”することができることである。
改変した状態を”基準”に設定することによって半永久的な効果をもたらす能力。それが『世界を調律するもの』
の由来となっている。
この世においてたった一人。リューンエイジ・FD・スペキュレイティヴという少女しか持たない力。
”絶対”を体現する能力だが、その発動には厳しい制約が課せられているため、戦闘向きではない。
ウィズダム同様、「次世代都市存続永久機関開発計画」というプロジェクトの下、偶然に生まれ出でた能力であ
る。
だが、その計画は一体どこの誰が企てたものだったのか。
たった一つのキーワードは、『Id』。
ナイフ型結界基点『アセイミ』(固有名詞:武器名)
・『黄金夜更』が保有する特殊武装の一つ。
地面や壁などに突き立て、その内部の面や空間にノイズメイカーにも似た効果を発動させる武具。
効力は大体最高級のノイズメイカーくらいだろうか。不意打ちや無力化に優れるため、『黄金夜更』の兵士のほぼ
全員が所持している。別名・魔法士殺しの刃。
ちなみに「アセイミ」とは魔術を使用する際に使う魔術武具の短剣のことを指す。
『月光』(固有名詞:武器名)
・錬の愛用する月夜謹製ナイフ。
完全なる自己領域発動システムを搭載した一品。刃渡りなどは普通のサバイバルナイフと変わりない。
柄の部分に「月光」と掘り込まれている。由来は不明。おそらく製作者の名前からとったのだろうと思われる。
無茶ばかり繰り返す錬のためにたっぷりと論理回路を刻み込んであり、とても頑丈。
ただ、その代償として情報解体を行うことはできなくなっている。
実はこの「月光」はあるナイフの試作品らしい。錬が全ての能力を劣化せずに使うことができるようになる、とい
うための武器のテストタイプだとか。
この物語でその一端を垣間見ることができた。どうやら完成品の名称は「蒼天」と呼ばれるらしい。
他にも黒い手甲「ヘカトンケイル」、真紅の指輪「ムスペルヘイム」、無色のペンダント「ライジングサン」が確
認されているが、その詳細は全として不明。次回作でそれが明かされることだろう。
『迅雷』(固有名詞:武器名)
・月夜謹製投擲用ナイフ。
刻まれた論理回路により爆発的な加速を得ることができる。が、それだけ。
使い道は奇襲などに。
……こんなトコですかね。
他にも色々ありますが、まぁ固有名詞込みの輩はこのくらいでしょう。
そのよん
・決して使われなかったシーン集です。
まぁ要するにボツにした文の一例です。ではどーぞ。
/1
容赦なく降り注ぐ爆炎。
ヘイズの破砕の領域の解体も徐々に追いつかなくなってきている。
ファンメイは気絶したリューネを抱えているため迎撃不能。
錬の能力では爆撃されるナパーム弾を無力化することは容易ではない。
――――それならば、自分の役目だ。
「――――――――っ」
天使の翼を顕現させる。
周りには魔法士が四人。普通ならばいっぱいいっぱいのはずだが、ファンメイの存在は同調能力の支配下には入ら
ない。
故に生まれるわずかな余裕。
その刹那をもってこの”世界”へと同調する。
――――思い出せ。あの戦いを思い出せ。
再現できるはずだ。なぜならば自分は彼らの原型。
認識しろ。それが全ての始まりだ。
情報の海へと意識を潜らせ、捉えたのは世界の根源の一つ。
それは決して揺らぐことの無い鉄壁。
永劫不変でありながら、刻一刻と歴史を刻む足音。
解放せよ。
それはかつて出会った狂人の奥義。万物の根源、”世界”の模倣。
叫べ。その名は――――――――
「――――――――『偽・凍れる世界』――――――――ッ!!」
叫びと共に顕現した世界は、錬たちに降り注ぐ全ての暴力を完全なまでに凍りつかせた。
/2
「えぇっと・・・・・・ヘイズさん?」
「あ? なんだ?」
「飲む、って言ったのはわかるケド。・・・・・・何この『謎酒・男児殺し』って」
「あぁそれか。確かそれはアルコール摂取を禁じられてるガキ用だ」
「……具体的には?」
「ん? まぁ要するに二度と飲みたくなる気持ちを起こさないようにだな、とりあえずスピリタスと」
「ごめんなさいもういいです」
*スピリタス……アルコール度数が9割を超えるという酒。てか最早アルコールそのもの。
/3
体は既に限界。
I−ブレインも悲鳴を上げている。
けれど、それでも心は未だ挫けず。
自分を騙す。
自分を騙す。
自分を騙す。
負傷を欺き、出血を隠蔽し、I−ブレインを強制的に作動させる。
残るゲーティアは3人。
ファンメイが暴走して倒れた今、速攻でカタをつける以外に方法はない。
「フィア! リューネ! ファンメイをお願い!!」
もって三分。
自分の体を騙そうが限界はそれだけだろう。
トドメはファンメイに任せることになる。
黒の水の暴走と言えど、『調律士』の力ならば必ずや治めてくれるはずだ。
それまでは、
「それまでは、僕が――――!」
(『■■■■』を開始――――”月光”と”ヘカトンケイル”とのリンクを確立)
無意識下より錬鉄の秘奥を引きずり出す。
なんの意識もいらぬ。全ては、この身が記憶している。
(形成・『鋼使い』)
剥目するがいい妄執の軍勢。
これこそが、天樹錬の本質――――!
(展開――――――――”■■■■”)
/4
時空間防御。
それは触れるもの全てを無力化する絶対防御だ。
生半可な攻撃では干渉することすら叶わぬ。
より高位の次元より干渉を重ねなければ打ち砕けない。
ならば、時空に干渉するというのなら、こちらはさらに上位、『世界』からそれを打倒してみせよう――――
……そう、絶対に錬はそうしてしまうだろう。
「――――っ」
「……フィ、ア?」
自分の横で、ボロボロの錬が霞んだ目でこっちを見てきた。
『終わる世界』を使わせるわけにはいかない。
前の時よりも祐一、ディー、セラの三人分も演算が足りないのだ。
ファンメイで少しは補えるとはいえ、明らかに二人分は不足している。
ならば、錬の性格からしてそこを自身で、自身の命で補うのは最早自明。
そんなことはさせられない。そんなことをさせたら確実に錬は死ぬ。
(『世界』とのリンクを確立)
故に行うは自分。
『アレイスター』を見上げる。
こんな、こんなヤツらに、”妹”が走りきった道を否定などさせるものか――――!
(発動――――『奇跡の詩』)
天使の翼が世界を満たす。
ウィズダムの、リューネの原型の力。
ただ世界へと同調するだけの能力。
だが、それゆえに、どんなものよりも精密に世界を理解できる力……!
…………あれ。結構フィア活躍してる?
そのご
ま、こんなトコですかね。
なんか段々自分でもわけわからん文になってきましたし。
「あの空」に比べてそこまで向こう見ずに書いてきたつもりは無いですが、やはりあったようで(苦笑)。
一応はじめに立てたプロット通りには書けましたけんど。
次回作にして最終作となる「Life goes on」のプロットもあるにはあるんですが、それ作ったときはまだ五巻の下
が出てなかったんですよねー。
おかげでかなりの変更を加える羽目に。あーやれやれだぜ。
特に一番困ったのが錬とサクラの違いでした。
真昼が考案した基本フレーム。
サクラに与えられたのが「操作」「合成」と限定的な「創生」。
んで、錬に与えられたのが「創生」「並列」と限定的な「操作」。
二人を比べると、あらゆる状況に対応するように作られたのがサクラで、錬の方は異端な能力を作り上げることに
特化しているように思えます。
サクラの「創生」は錬のそれよりも精度が低いのだと思います。
逆に錬は基本領域いじくってノイズの変化などに対応はできない。
サクラが汎用ならば錬は極地戦用。互いに一長一短を補うペアだと俺は思いました。
――――は、いいんですが。この差のおかげで色々と困ったことに。
初期の考えではサクラ普通に錬の能力をばんばか教えてもらっていましたし。
逆に錬も「踊る人形」やら合成系のヤツを試してみたり、と。……あぁもう兄さん一からやりなおしですかッ!
まぁその分どっかの章のあとがきに書いたようにsecret codeなるものが増えたわけなんですけどもー。
とりあえず全員に新たな能力でも考えてみようかな。
……今のところ化け物的トンデモ能力になっちまったのが錬・ディー・セラ・ファンメイ・祐一。
個人じゃないけど連係技でデヴィル級のものもあったりします。
組み合わせだけ明かすとヘイズ&クレア&リューネ。……おそらくこの組み合わせから推測することは誰もできん
でしょう。ってかできたらリューネの予想以上にスゲェ。
「Life goes on」のネタばらしは予告編の方に多々ありますのでここではこのくらいにしときましょうか。
そのぜろ
・はい。なんか段々と脱線してきてますが、ともあれ「deus ex machina」を最後まで読んでいただき、本当にあり
がとうございました。
こんな駄文ではございますが、少しでもお楽しみいただけたのならば幸いです。
ウィズダムに代わる新たなオリキャラ、リューネもまたかわいがってやってください。
さて、最早語るに尽きました。言葉が足らぬ部分も多々あるとは思いますが、それでもこの作品には俺の今の段階
で込めれる全てが込めてあります。
そして、ついに次回作で最終部となります。「あの空の向こう側へ」より始まり、この「deus ex machina」へと続
き、ラストを飾るのは「Life goes on」。
WBキャラのほぼ全てが出演するこの物語、どうぞご期待下さいませ。
最後になりましたが、「あの空」に引き続き、お忙しいながらもこの作品に日の目を見る機会を与えて下さいまし
た管理人、咲様に、そして、闇鳴さんをはじめとした誤字脱字校正部隊の方々に心よりの感謝を。
それでは、「Life goes on」にて、再びお会いしましょう。
……ってかしばらくは学園か。
レクイエム