第二章

「戦禍の遭遇」























対峙を果たすは二つの原石

万象を生み出す少年と

万象を作り出す少女の出会い

それは決して出会わぬ太陽と月のようでもあり

永遠に互いを追い続ける蛇のそれでもあり――――



























「…………酷い」

見渡す限りの破壊跡。

ここは生命の息吹が全く感じられぬ滅びた都市。

シティ・シンガポール跡地。

その入り口で、錬は唇を噛んで呟いた。

瓦礫。

瓦礫。

瓦礫。

見渡すだけで廃屋は百を数え、刈り取られた命の残りカスは千にも及ぶ。

うっすらと未だくすぶる爆炎の残滓に、撒き散らされた紅が彩りを加えていた。

凝固し、黒ずんだその染みは光の反射によって極彩色に輝く。

瓦礫。死体。

瓦礫。死体。
てんにいのりを
瓦礫。死体。

「…………っ」

煉獄の沙汰は下り、残されたものは八大地獄が最奥、阿鼻叫喚の世界。

右を向けば瓦礫の山。

左を向けば死体の山。

例外は無い。この場は冷たく停止した場所。

天高く聳え立ち、バベルの再来とまで謳われた人類最後の砦は、完全に壊滅していた。

「……皆殺し」

錬は呟く。

そう、皆殺しだ。

シティならずとも、組織を崩壊させるには頭――――シティの場合は軍か――――を潰せばそれで事足りる。

だが、シティ・シンガポールを滅ぼした巨人にはそんな定石など通用しなかった。

シティの北口より侵入した破壊の跡は円を描くように蛇行し、まるで足跡でシティを埋め尽くすように記されてい る。

「逃げ回る人たちを追い回すように……」

知らず、拳に力が入った。

目に映るものはどこを見ても、

「――――っ」

瓦礫。死体。血飛沫。

瓦礫。死体。血飛沫。

瓦礫。死体。血飛沫。








――――ここは、心に痛い。                                        ちにやくそくを








軋む心に鉄の戒めを。

揺らぐ思いに鋼の柵を。

湧き上がる過去の光景を無理やりに押し殺し、錬は息をついた。

周りを再度見渡し、

「――――にしても、誰もいないってのはおかしいよね」

海賊都市の崩壊とはわけが違う。

人類最後の砦たるシティ一つが、それも抵抗すらできぬまま滅ぼされたのだ。

残るシティによる調査団などが赴いていなければおかしい。

「まだ来てない、ってこともないよね……」

錬がシティ・シンガポールの崩壊を知ったのは一般メディアを通じてだ。

それより軍の情報が遅いわけが無い。

なのに、姿はおろか影も形も見当たらない……?

「こっちとしてはやりやすいんだけどなぁ……。嫌な感じ」

ともあれ、調査を開始しよう。



(「ラグランジュ」常駐)



身体能力を3倍に設定し、錬はシティの最深部である軍の建物の元へと向かうことにした。





            ひとにやさしさを
















     *






















――――時間は少し、遡る。






全世界にシティ・シンガポール崩壊の知らせが流れ始めた丁度その頃。

クレアヴォイアンスNo,7は、FA-307の操縦槽の中で出撃許可を今か今かと待っていた。

申請より既に一時間が経過。いくら火急な要請だとて明らかにおかしい。

「どうなってんのよ、ウチの上層部は……!」

腹立ち紛れに操縦槽の強化ガラスを叩く。

この世に三隻しか存在しない雲上航行艦の中でも最高の雲中航行速度を誇るFA-307はそれこそシティ・マサチュー セッツの宝。

下手な侵入者を防ぐために強固なドックに入れられているのだが、今はそれが忌々しい。

機体は演算機関も暖機を終え、命令一つ下ればナノセコンドで発進できるようになっている。

「…………」

だが、肝心の許可が一向に降りない。

どうせ軍と揉めているのだろう。ディーの逃亡から軍はWBFに対する圧力を強めてきている。

「だからって……あぁもう遅い遅い遅い!」

全くどうなっているのか。

一刻も早く現場へと急行したい気持ちばかりが逸る。

再度WBFの上層部にアクセスするが、受け答えすら帰ってこない。

それにいい加減にしろ、と怒鳴りつけようとし、

「――――ぁ」

最悪の想像を思いついた。思いついてしまった。











何故この襲撃がもう終わったと考える・・・・・・・・・・・・・・・・・






                                                          あなたにあいを




「――――ぁ、あ」

そうだ。考えて見れば、あの巨人は一体何を目的としてシティ・シンガポールを破壊したのだろう。


マザーコア?

戦力?

保有するプラント?


そんなものではないとしたら。

物質的な目的ではなく、”破壊すること”が目的だったとしたら。

そう、













――――目的がシティを破壊することだったとしたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・――――?













「――――っ!」

一瞬で背筋が総毛だった。

弾けるように『千里眼』を行使する。

索敵対象を確定。

目標:WBF及びシティ・マサチューセッツ軍。

世界の裏側までも追跡可能な圧倒的な索敵能力が幾重もの防壁を潜り抜け、最深部へと到達する。

最高クラスのプロテクトがかかっているため、流石の『千里眼』でも詳細はわからない。

だが、





「……反応が、何も無い……!」





クレアは、自分の想像が最悪のカタチで的中したことを悟った。

熱源、質量、情報子。どの角度から見ても何も存在しない。

そこでふと気がついた。

「……質量索敵にも引っかからない?」

シティ・シンガポールの上層部の者たちは残らず斬り殺されていた。

時間がたてば熱こそ消えるが、死体は残るため、質量索敵には引っかかる。

だが、これはそれにすら引っかかっていない。
                                 うみにこころを
……どういうこと?

具体的な映像までは『千里眼』が追いつかない。

考えられる可能性としては、特殊な装備、あるいは情報制御によって跡形もなく消し去られたか。

「…………っ」

わからない。わからない。

侵入経路は?

敵数は?

武装は?

unknownばかりに包まれている。

それは焦りとなってクレアの心を揺さぶり、そして、














「――――おぅ、こンなトコにいやがったかァ」 














突然の声の乱入によって最高潮に達した。

「な、……っ!?」

驚愕と混乱と焦燥が体を支配する。

『千里眼』を発動している今の自分に気取られずにどうやってここまで――――?

「その船。アンタが『千里眼』クレアヴォイアンスとやらでいいンだよナ?」

声の主の姿を捉える。

飄々とした体躯。

ドックの入り口から歩いてきたのは、真っ赤な髪を天へと逆立て、緑と蒼のサイケデリックな服に身を包んだ男 だった。

原色ばかりの服飾に目が痛い。

「だ、誰よあんた!」

愚問だと心が告げる。

男は応える。

「俺が何者だァ?」

目に浮かぶは嘲笑と侮蔑。

ぎちり、と歯を鳴らしてその男は哂った。

そして、ゆらり・・・と手をかざして、


わたしにけついを







「ぎははははっ。なァお姉さン――――そンなこと聞いてる場合かヨ・・・・・・・・・・・・・










刹那。世界が凍った。

「――――ッ!」

一瞬で生命の本能をたたき起こされる。

――怖い。

冷たい汗が止め処なく流れ、背筋を伝う。

――――恐い。

I−ブレインまでもが反応を返さない。

――――――コワイ。

これは生命の記憶の原初。圧倒的な捕食者との対峙――――!

「ァあ、あぁあああぁああぁぁあああああああ!!」

荒れ狂う心の奔流に身を任せ、クレアはI−ブレインを一喝した。

全長75mの『千里眼』の分身。

その体に次々と火が入ってゆく。

否、――――つい先ほどまで・・・・・・・準備していた・・・・・・演算機関の熱ですら・・・・・・・・・この男の前に・・・・・・屈服していたのか・・・・・・・・

奥歯が割れるほどに歯を食いしばり、クレアは発進の命令を叩き込んだ。

「ヒュウ♪ いい反応だな、ン?」

それを目にして男が哂う。

「お姉さンが今残ってるたった一人の”規格外”なンだろ?」

男は哂う。

獲物を追い詰める肉食獣の気配を宿し、男は哂う。

まるで、完成したおもちゃの出来ようを見つめる子供のように。

「だったらちぃとは楽しめそうかネ」

じゅるり、と舌なめずりをする。

それに嫌悪と恐怖を等分に感じ、クレアはFA-307を発進させた。

隔壁なぞに構っている暇は無い。







こころにほこりを


「さ、始めるとしますかナ。――――いくぞ、『煉雀獄焔』プルガトリオ









視界が加速する。

男が懐より杖のような長柄の獲物を取り出す。

視界が加速する。

男がその獲物を一振りしてこちらを指す。

視界が加速する。

隔壁が迫り、躊躇なく船体で以ってその壁をぶち破り、










「あァ――――、舞台は三流。されど怠惰は相成らぬ」










衝撃。

船体が隔壁を砕き進み、










「世界は舞台。人は役者。誰の言葉だったンだかなこれは」










光が差し込む。

FA-307は男を置き去りにして浮上。

しかし、その声だけは異様なまでに耳につく。










「くかか。そンな訳でオープニングだ」


                                                                たましいにちかいを







聞こえるはずが無い。

聞こえるはずが無い。

しかし、
























「――――『Id』イド守護者ガーディアンは第三位、「灼爛炎帝」しゃくらんえんていザラットラ。尋常に刃傷に塵状にタイマンと洒落込もうじゃァねー か!!」
























聞こえる。

脳を犯す言葉。

FA-307は天上へと飛翔し、絶望的な悲壮を猛りだけで押し殺して急降下。

応ずるように爆炎があがる。















――――死闘開始。






















      *















        せかいにさけびを








シティ・シンガポール最奥中心部。自治軍『アトラ』司令部。

『三儀』トリスレギオンと称される三人の英雄を有するこのシティの軍は、統率に優れたものとして他のシティに警戒されてい た。

三位一体。天・地・人の大佐たちの連係の前に逃れることあたわずとさえ称された軍。

それが今、完膚なきまでに壊滅していた。

否、壊滅させられていた。

「改めて見ても、酷いな……」

ひょいひょいと瓦礫の山を軽やかに飛びながら、錬は一際高く積みあがっている部分。すなわち司令部のあった高台へと 足を運ぶ。

その途中、おかしなことに気がついた。

「……瓦礫が、少ない」

確かに見渡せば倒壊した建物の瓦礫の山が累々と並んでいる。

だが、その数が少なすぎる。

まるで町の何割かがまるごと消えてしまったよう。

今まで見てきた風景がここシティ跡全域に広がっているというのなら、明らかにその数は少なすぎる。

「…………消し飛ばされた、ってことかな」

それしか説明は思いつかない。

ともかく調査を開始しよう。

と、その前に瞑目する。         みんなにへいわを

黙祷。

何の救いにもなりはしないが、死者を悼むことは生者にしかできないこと。

簡易ではあるが殺された人たちに黙祷をささげ、錬は調査を開始し、



(情報制御を感知)



I−ブレインの警告に弾かれるようにして飛びのき、身を伏せた。

……だれ?

とりあえず隠れてみたものの、最早条件反射でこんな行動をとってしまった自分にちょっと悲しい錬だった。

……段々と犯罪者根性が。ってちがうちがう。

今はそんなことを考えている場合ではない。

やってきたのはシティの調査隊か、それとも別の誰かか。

気配を殺して周りを見渡す位置へと移動する。

I−ブレインに命令を叩き込み、視力を軽く上げて回りを見渡した。

「どこから……?」

だが何も目には留まらない。

確かに遠目の反応でこそあったが、姿を隠して見晴らしの良い場所へと移動したこちらが捉えられないことはない はずなのだが。

そう不審に思った瞬間。

                                                   ほしにねがいを








「――――動くな」










怜悧な声が背後から錬を貫いた。

どこまでも澄んだ、ナイフのように鋭利な声。

突然のことに思考は混乱しかけ、しかし一瞬で立ち直る。

さっきまで錬は、やってきた何者かはまだ自分に気がついていないと思い込んでいた。

だがそれは間違いだった。

あの情報制御は、錬がいることに気づいたその何者かが行動を起こすために行ったものだったのだ。

全ては逆。

発見されているにも関わらず、姿を隠して周りを伺っていた自分はさぞ間抜けに見えたであろう。

……完全に、裏をかかれた――――!

『悪魔使い』の名が泣く。

不甲斐ない自分に歯噛みすると同時に、それほどまでの力量を持った背後の人物に戦慄する。

気配は一つ。

警告を発したくせに距離は3mほど離れている。

となると飛び道具を警戒するべきか。
のぞみはつきず
一瞬にして思考が回りだす。

過ぎたことは過ぎたこと。現場に悔やみは必要ない。これからを打破する手段こそを考えよ。

背後の人物はおそらく魔法士。

単独でこの場に来ていることから錬と同じく真相を知りに来たのだろう。

そして単独であるということは、自分の力量にそれだけ自信があるということだ。

「――――動くな。そのまま何もせずにこちらの質問に答えろ」

背後の声が再度告げる。

ここは人類最後の砦が崩壊した場所。警戒するのも無理は無い。

投げかけられる声は、下手なことすれば命は無いと告げていた。

……でも、どっかで聞いたような声なんだけど?

ふと、錬は今の状況も忘れてそう思った。

なんとなくこの声はどこかで、それもごく最近に聞いたような覚えがあるような気がする。

まぁ、今はいいだろう。そんな場合ではない。

全身の力を抜き、刹那のタイミングを計る。

「貴方はここで何をしている? まさかとは思うが、ここを滅ぼしたのは貴方の仕業なのか?」

その言葉で確定する。
きえかけたこのせかいで
背後の人物も調査のためにここを訪れたのだ。

ならばいがみ合うことなどは無いのだが、今の状況が状況だ。そうも言っていられない。

……いち。

カウント開始。目を閉じ、考える素振りを見せてタイミングを取る。

「……沈黙は肯定とみなすが、いいのか?」

……にぃ、の。

背後の声に冷たさが混じる。

その雰囲気を壊すように投げやりに言った。

「んーと、違うけど?」

緊張感の無いこちらに毒気を抜かれたのか、一瞬だけ気配のキツさが緩む。

「……ならば何故こんなところに」



――――さん!



その一瞬の隙をついて横っ飛び。

ラグランジュとアインシュタインを簡易常駐させて一跳びで10mの距離を稼ぎ、声の主へと向き直る。

そして、
わたしはねがっています
「尋問にしても、穏やかなやり方じゃな――――」

腰より抜き放った『月光』を突きつけようとして、息を呑んだ。

声の主。背後にいたのは自分と同じくらいの背丈の少女だった。

ツインテールに結んだ黒髪に、切れ長で鋭い目。

祐一のよりは裾の短い黒の外套に身を包み、手に持つは投擲用らしきナイフ。

その少女を、錬はほんの半月前に目にしていた。

『賢人会議』Seer's Guild……?」

全シティに戦線を布告した組織。

その一切が謎に包まれていたが、半月前の宣言によって全容や目的は明らかになっている。

……あれで、ウィズダムとリューネが『賢人会議』とは無関係、ってわかったんだよね。

世界を紡ぐ二人の魔法士。

その出自はこの少女の宣言によって一層の謎に包まれてしまった。

だが、そんなことよりも、この『賢人会議』には錬が捜し求めている一人の人物もいる筈なのだ。

…………真昼兄。

実の兄を思い浮かべて錬は目の前の少女と対峙する。

彼女は眉一つ動かさずに言った。

「知っているようだな」

澄んだ声。

他者を切りつけるようでいて、それ故に綺麗な声。

目の前の少女から目が離せなくなっていることに錬は気づいた。

「……君、は」

既視感。――――否。

畏怖。――――否。
わたしはただ ねがっています
驚愕。――――否。

硬直。――――否。

脳を巡っては消えてゆく意識の嵐。

あの時。リューネの告白を聞いた日の夜に感じたような推し量ること敵わぬ感情の奔流。

そう、――――理由なんてない。

「…………」

黙り込んだこちらに何かを勘繰ったのか、少女はすらりとナイフをこちらに向けた。

「運が悪いのか、それとも魔が差しているのか」

一息。

「悪いが、貴方にここに私がいたことを誰かに伝えられると少々厄介なことになる」

「…………はい?」

一瞬、何を言われたのか判らなかった。

だが、すぐに理由に思い当たる。

『賢人会議』はシティに対して宣戦を布告した。

ならば、このように謎の壊滅を遂げたシティ・シンガポール跡に『賢人会議』がいた、と判ったなら。

――――真実はどうであれ。その結果は予想して違えることは無いだろう。

「今更悪評など気にはしないが、だからと言ってここまでのことを甘受するつもりはない」

ナイフの切っ先が光る。

……ちょっと、もしかして。

錬は嫌な想像が正解に近づいてゆくことを悟った。

この目の前の少女は『賢人会議』。その存在を見られることを善哉とはしないだろう。

そしておまけに今の自分の手には紛れも無いサバイバルナイフが存在している。



すべてをこえて かがやくひまで




――――つまり、この状況は相手から見れば、不審な魔法士が白刃を抜き身に構えているわけで。








さらにさらには、先ほど錬は恫喝に応えずに跳び逃げるという、思いっきり敵対行動にもとれる行動をしてしまっていた。

……勘違いされるには、十分すぎる材料が揃っている。

つまりは、こういうことになる。

「貴方には悪いが、少々大人しくしていてもらおう。……何、殺しはしない。記憶を消去させてもらうだけだ ――――!」

「ぅ、わわわ……っ!?」

翻った少女の外套から滑り出る無数のナイフ。

それは少女の周りで電磁の紫電を纏いて止まり、

「すぐ済む。――――動かずにいろ」

「ちょ、ちょっと待っ――――」

戸惑う錬の声を無視して、盛大に放たれた。

サクラVS天樹錬。

アルファにしてオメガ。魔法士の雛形にして最終形たる二人が、今ここに激突かんちがいを開始した。













ずっと ずっと――――



















 どうなんだか裏コーナー

〜おまけコーナー・復活?〜


サクラ 「貴方には悪いが、少々大人しくしていてもらおう。……何、殺しはしない。記憶を消去させてもらうだけだ――――!」

錬 「ぅ、わわわ……っ!?」

サクラ 「すぐ済む。――――動かずにいろ」

錬 「ちょ、ちょっと待っ――――たぶぁっ!」<直撃

サクラ 「…………」<手が滑った




…………第三部・完





 ATOGAKI

「正月だろうと関係ナシ。順調だかなんだかわからんペースで第二章でございます」

錬 「まぁ今いくらペースが順調でも一つずつしか送らないんでしょ?」

フィア 「それと今年は流石に毎回更新は無理だと思います」

「まあなー。大学受験もあるし。……ところで、今回はお前さんたち?」

錬 「そうだけど」

フィア 「そうですけど?」

「いや。お前らだけだと一巻だか四巻だか判別つかねーんだが」

祐一 「俺らが目に入っていないのかお前」

真昼 「んー、そうっぽいね」

月夜 「んー、いい度胸ね」

「……いらっしゃい。そして最後のセリフだけ毛色が違うのにはもう何も言わんぞ」

雪 「人望が知れるわね」

「……ん?」

錬 「……え?」

フィア 「あれ……?」

祐一 「どうした。何かあったか? ――――雪、何か気づいたか?」

雪 「うぅん、特に」

真昼 「なにも」

月夜 「ないわよ?」

「――――何ゆえさも当然のように振舞えますかアンタらッ!?」

祐一 「……何だ」

「ごめんなさい」

錬 「弱っ」

フィア 「……やっぱりここどこかとリンクしてますね」

「ま、まあその話はもういいや。……俺が斬られる」

月夜 「はいはい。それじゃぁ本題にいきましょうか」

真昼 「今回からようやく本編キャラの本格登場だね」

「そういうコトになるね。状況で言うなら一歩足出そうとして今空中って具合」

錬 「判りにくいたとえを……」

祐一 「前世からの定めだ。諦めろ」

「普通そこは性格とかって言わないかねッ!?」

雪 「錬君がいきなり災難に巻き込まれてるわね」

「ナチュラルスルー!?」

真昼 「雪姉さん意外にこういう人だからねー」

フィア 「わぁ……」

月夜 「まぁトラブルに巻き込まれるのは錬の特権だし」

「ヘイズもそーだがな。ともあれサクラと錬が出会うときにはやっぱ喧嘩になるかなー、って」

祐一 「予想できなくも無いがな。あの子はああ見えてかなりのせっかちだ」

雪 「……祐一。いつからそんな保護者キャラに?」

錬 「え、昔は違ったの?」

祐一 「錬。一度お前の中の黒沢祐一像を確認する必要があるな」

錬 「ごめんなさい」

「弱っ」

七夜錬 「――――弔毘八仙」

「平身低頭して謝りますので許してくださいッ!」

真昼 「……学習能力ないね」

月夜 「……それよりアンタ今の錬につっこみはナシ?」

フィア 「前もありましたけど……」

錬 「何回斬っても戻るからねぇ……どうしよう」

「そんなもんだろな。さーて、ここらで切り上げるか。次章は――――」

真昼 「第三章・『集う趨勢』。滅びた都市に、役者は終結することになるよ」

月夜 「そして、集うのはこちらの世界のものだけではないわよ」

雪 「轟く咆哮。揺らぐ世界。――――現れ出でるは、”天意の宿り木”」

「開幕の一幕。次章でようやく始業ベルだ」

祐一 「鳴らされるのは神の角笛か、さてまた悪魔の呼び声か」

錬 「そういうわけで、お楽しみに〜」

「次はディーとかも登場するぞー」


















本文完成:1月4日 HTML化完成:1月4日


written by レクイエム



                                            








                                                                               ”Life goes on”それでも生きなければ...