■■闇鳴羚炬様■■

The happness isn't foever
〜『日常』という名の幸福〜



<西暦ニ一九六年 六月八日>

昨日は、しっかりと目覚まし時計をセットしておいた。

なのに。

その日は、何故かアラームが鳴らなかった。

水玉模様の布団を押しのけ、枕元のパンダの時計に目をやった。

十一時五五分。

「なんで鳴らないのよ〜!!」

当然の不評と共に、ファンメイは全力で時計を放った。

放物線を描きつつ、ドレッサーの側面に着地。

派手な音と共にバネやらネジやらが飛び出す。

「時計のバカァーーー!!」

言いつつベッドから飛び降り、ドレッサーに駆けより、

・・・・・・・・自分の放った時計のネジを踏んだ。

「いったぁーーー!!」

足の裏を押さえ、ネジをギッ、っと睨む。

次の瞬間、時計は宙を舞っていた。

ファンメイが蹴り飛ばしたのだ。

時計が、今度はドアに当たると思いきや、急にドアが開く。

「あっ!」

ルーティが入ってきた。

時計は一直線にルーティの顔面に向かい、

弾け飛んだ。

黒く、巨大なあぎとがぎぃ、と喉を鳴らしていた。

「何してるの?」

と、笑顔で問う。

「え?えっと・・・・目覚ましをセットしたんだけど、鳴らなくて、今日はお休みだけど、私の誕生日で、・・・・・・そうだ!誕生日!」

ファンメイの顔がぱっ、と明るくなる。

「誕生日だと人に物を蹴りつけるの?」

カイがルーティの後ろから出てくる。

「・・・・・ごめんなさい。」

今度はこの世の終わりのように暗くなる。

「謝るくらいだったら始めからやるなよ。」

シャオロンも出てくる。

ファンメイはシャオロンを横目で睨み、

しかし、何も言わなかった。

それよりも気になることがあった。

「みんなして、どうしたの?」

何故今日は総出できたのか気になったのだ。

「今、自分で言ったでしょ?」

と、ルーティ。

「誕生日だからだよ。」

カイが後を継ぐ。

ファンメイの顔がまた輝き、

「まずは、着替えてからね。」

ルーティの一言で赤くなる。

ファンメイはまだパジャマのままだった。

ファンメイが支度を整えて三人の所へ行くと、ケーキがあった。

二年前、ファンメイが作って失敗した「生焼けの小麦粉と分離した牛乳と潰れかけたイチゴの混合物」とははるかに段違いの、ロウソクが12本あって、「Happy Birthday」のチョコレートも添えられた、ちゃんとしたケーキ。

カイが電気を消し、ルーティがロウソクに火を灯す。

ファンメイは残ったイスに、すとん、と座り、ロウソクを吹き消す。

「「「誕生日、おめでとう。」」」

涙が出そうだった。

「ありがとう!」

ファンメイは、満面の笑みで答えた。

ケーキを4人でついばみ、楽しそうに談笑する声が響く。


         そこに、やがて壊れる幸せがあった・・・・。



闇鳴羚炬様よりいただきました。

ルーティの武器が、私は好きです。
あの見かけとはアンバランスだけど、
本性とはあいまくりっぽいところが…(笑)
そんなお姉さんキャラに弱いのです。


<作者様コメント>
二回目の作品です。
二年前、メイが12歳の時のお話。
まだカイが歩き回ってます。
原作によると、この年の「肝試し」のちょっと後(?)
ぐらいから仲が悪くなったみたいですが、その後の想定です。
ちなみに、時計を止めたのは、ルーティ。
ファンメイに早く起きられると、準備が間に合わないため。(笑
シャオのセリフが2つしかない。。。。シャオファンの人すみません。(汗
まだまだダメですね。「日々挑戦、日々発展、日々精進」(笑
次はVの話を書きたいと思います。先は未定ですが。(笑

<作者様サイト>
なし

◆とじる◆